KAC202212 “人流”


 啓三けいぞうの孫娘、愛茉エマは聞いたしまった――


 それは、おじい様の葬儀に参列した大勢のひとの前から、

忽然こつぜんと姿を消した御祖母おばあ様を見つけたときだった


「あのひとが死んで、やっと、ひとりの女に戻れるわ」

「あの男を ずいぶんと 憎いんだものだ」


「そうよ。あの男は私にとって、疫病神だったわ。

 でも、最後に私たちを繋げるための愛の『ピース』になってくれたんだから、

 感謝しなくっちゃね」


 御祖母おばあ様は、白髪交じりの男性に腕を回し、抱きしめ合っていた


 愛茉エマは、その光景に息を呑んだ

『男女の関係』というモノが、まるで分からない年齢ではない

しかし、両親の愛情からは遠く、自分も誰かに恋をしたことがない為、

このようなドラマや漫画のような世界とは、無縁の生き物であった――


(ど、どうしましょう? 最悪のタイミングですわね……

 こんなとき、執事の山田ならどうするのかしらッ?!)



 愛茉エマお嬢様、15歳の冬――



 お金や権力に群がるゴミみたいな人間ばかりの社交界の中で生きてきた

孤高のオオカミだった


 気をゆるせば、情やコネを 巧みに使って 取り入ってこようとする人間を見下し、

そんな事をするくらいなら、プライドを磨きなさい、と思っている


 そう――― (御祖母おばあ様が、篭絡ろうらくっ?! ありえないわ!!)


 つまり、身内だけには、あってはならない事だ!


そうであってはならない! 猫田の血筋に、弱者は存在しない……


 それゆえに、目の前の光景には 心が対応できなかった



 愛茉エマは、初めて身内のスキャンダルを目撃してしまった

 それも、おじい様の葬儀の夜に……



 ◇



-財界天皇- 猫田 啓三けいぞう 享年89歳


その『死』は、ほんとうに 老衰による 自然死 なのか?


それとも、陰謀よる 他殺 なのか?――――



 ◇ ドラマのCM風に・・・――――



「枯れた花に、蝶は舞い降りないわ。――でも、貴方はちがう」――御祖母おばあ


 「恋愛? 男女の友情? なにそれ? お可愛いことッ!」――愛茉エマ


「猫田の死因? そんなことを今さら調べて、どうするんだい?」――診断医


 「折角だから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」――???


  「もう、ウチには来ないでくれ!」――おでん屋 店主


「ちょっと聞いてよ、ナベさん!」――美羽さん


  「おい、逃げるぞ」――チンピラB

「鬼ヤバじゃん!?」――チンピラC


      「猫田家の、終わりだ……」――天之闇あめのくら




 「お嬢様、いま すぐに包丁をててくださいッ!」――執事 山田

 



 「おいは、神様を信じちゃいねぇ……」――おじい様


「猫田さん? どうしました? ねこたさぁあああんんんッ!!!」――吾人




 ◇ “人流”あるところに、ドラマが 生 まれる ◇


 

   新番組 『吉夫よしお家1号店』


 

   - 近日 公開 -  



※コロナ禍により、ドラマが『白紙』となりましたことを深くお詫び申し上げます


※⇧これもフィクションです (´▽`)


カクヨムから、高視聴率のドラマが生まれると良いのですが、、、いったい何年先のことになるのよら(笑)


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【終了】『KAC2022 ~カクヨム・アニバーサリー☆ 1~12 』 越知鷹 京 @tasogaleyorimosirokimono

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