第51話 エピローグ

 アモネスは咳払いをした。


「皆さんご機嫌よう!同じ学び舎で学ぶ学友として身分の貴賎なく過ごされます事を切に祈ります。こんな感じの上品な挨拶をするとでも思いましたか?甘い考えは捨てなさい。私をモノにしたい殿方は多いですね?私は卒業と共に、首席である晃司の女になるでしょう。私をモノにしたいのならば、正面から晃司を負かしなさい」


 ざわめきが起こる。


「彼は30体以上のワーウルフの群れをそれも1人で倒した実力者です。私は強い男にしか靡きません。また、上位に入る成績の女は勇者様の女にして差し上げます。不正や闇討ちは許しませんよ!私は勇者様を手元に置いております。目の色を変えて励みなさい!」


「聖女様が・・・」


 アモネスは晃司の入学生代表の挨拶に悪乗りして場を壊した。


 自分を撒き餌にし、汚い手段を使う者を排除するプランBに切り替えた。


 晃司の焦りがなんとなくゆっくりとしていてはいけないと判断したからだ。


 晃司はまたあの素のアモネスを見られ、アモネスが好きになった。


 戻ってきたアモネスの頭を撫でる。


「中々イカしたスピーチだったな。おえらいさんが気絶しまくっていたぞ!」


「晃司こそカッコよかったわよ!」


 そんな波乱のアカデミーがスタートした。


 男共は王女をモノにせんと昼夜を問わず励み、女達も目の色を変えて己を、魔法を鍛えた。


 その結果、2年後の卒業時には全員が宮廷魔道士を、従者組も騎士団長を凌ぐ力を得ていた。


 そして1位の座を常に守ってきた晃司は首席で卒業する。


 そして全員の名が読み上げられて行き、卒業式の最後に呼ばれたのは勇者晃司様と言う名だった。

 誰も驚かなかった。

 あまりにも突出していたからだ。


 晃司が使えるのは身体強化と半径1キロを吹き飛ばすような爆裂魔法、血液を沸騰させる魔法、相手の魔力を吸い取り尽くす魔法と初級魔法のみだった。


「よし、みんな強くなったな!先日魔王が旗揚げしたらしいから、卒業旅行を兼ねて倒しに行くぞ!」 

 

 卒業式の後は卒業旅行だったが、皆従者を背負い飛んで魔王を討伐に行くのであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

神の布使い 鍵弓 @keybow5963

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ