第49話 頑張れライラとイルミカ

 アカデミーが緊急で募集したのは1日前だが、毎年何かしらの理由で欠員が出て、欠員補充がされる。

 その募集を待つ者も多い。


 今回は試験での不正で不合格者が出たそうで、典型的な手口らしい。

 俺達も準備して出掛けるのだが、朝からアモネスにキスをおねだりされた。

 ライラは頷いて背中を向ける。

 軽くキスをするとアモネスは満足していた。

 晃司は基本的に毎日1度はして欲しいと言われた。

 上目遣いで目をうるうるさせてお願いするアモネスに対し拒否出来る訳でもなく、そっとキスをする。

 全てアモネスの計画通りだ。

 ライラの行動は意外だった。意外なのは本気で好きになった事だ。

 本当はライラを欲望のまま抱く事を臨んだのだが、晃司もライラに本気になったのだと知る。


 アモネスがコントロールしたいのはアモネスが駄目だと思う者と子をなす事を阻止する事。 

 ライラは予言師の所で見させられた予知に縛られていた。

 その予知の中にいない者と子をなすとその子が災厄をもたらすと。

 だから自分やライラに惹かれ、その魅力の虜にしたかった。

 ラミィでも良かったのだが残念ながら今は駄目だった。

 それは彼女がまだ幼な過ぎたのだ。

 アカデミーを卒業するまでに子をなさなければ、予知で災厄を発生させる子を産む者と子をなしても大丈夫だから、それまでの阻止で良かった。


 ただ、ライラに本気になった晃司を見て嫉妬した自分に戸惑っていた。


 それはともかく、今はライラの事を応援するしかない。

 ライラは魔力を持っているのは知っていた。


 合格するのは決まっているが、上位クラスに入る必要があるから祈るしかなかったのだ。


 皆ドキドキしながら実技を見ていたが、間違いなく上位に入る威力だった。

 何せターゲットを完全破壊したからだ。

 晃司達が受けた時も完全破壊したのは15名しかいなかったからだ。

 アモネスの従者はイルミカと言った。

 また、ライラの従者は姫騎士から選抜された者だった。

 試験で従者が同じ内容の筆記試験を受けていたのは、毎年従者の中に魔力持ちが混ざっており、その者を欠員補充の時に合格させる時があるからだ。


 毎年魔力持ちに打診があるのだ。

 試験の時に魔力有りか無しかの確認が密かにされており、アモネスの元に欠員補充の話が来たのだ。


 自分が魔力持ちだと知らぬ者もおり、ライラもその1人だった。

 不思議な事に魔力持ちの元には魔力持ちが引き寄せられる。

 ラミィやライラもそんな1人だった。

 ラミィは魔力持ちと知っていたが、ライラは知らなかった。


 その日の夜はライラの合格前祝いを関係者のみでひっそりと行った。


 そして翌日意気揚々と合格発表を見に行くのであった。

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