第48話 追加試験

 晃司は己の行動が意外だった。

 ライラと途中まで愛しあい、いよいよ合体という段階でお互いハッとなり断念した。

 1番の理由は、避妊方法がなかったからだ。

 コンドームを始め、勿論ピル等という物はなく、ライラに聞いたのは男性が体の外に子種を出す位で、他に知られている方法を聞いたが、晃司からすると全て効果のない方法でそれを伝える事に。


 そう、妊娠したら退学になるだろう。

 妊娠したらそれぞれで皆から祝福されるが、今はライラの力が欲しかった。

 だから今身籠ってしまうと困るのだ。


 それと拡大解釈された場合、2人共アカデミーを退学になり、魔王を討伐するのに影響が大きい。

 なので最後までせず、裸のまま抱き合って寝る事になった。


 そしてその日の朝、アモネスがライラの部屋に来た。

 晃司もライラもまだ裸のままだが、その様子を見てアモネスは満足していた。


 ライラが慌てて布団を出て話し始めた。


「お嬢様。不覚にもこのライラ、晃司様の事を本気で愛してしまいました。それと、その、まだ晃司様は童貞のままです。1つに魔王を討伐するまで私が身籠ると困るのと、アカデミーを2人ないしどちらかが退学になる恐れからです」


「あら残念ね。晃司、ライラの事を大事にするのよ。今ラミィや他の人にも伝えましたが、アカデミーに向かいますよ。追加試験です。どうも不正者が数名出たようで、従者のなかに魔力持ちがいれば合格になります。ライラ、貴女はずっと私の従者と言っていましたが、晃司を夫とする姉妹になるのですから主人側になるのよ」


「ですが、アカデミーでのパーティーは主人が3人では?」


「4人でも大丈夫よ。3人が推奨されているだけで、最大4人なのよ」


「じゃあアモネスの従者はどうするんだ?」


 晃司は服を着つつ話した。


「大丈夫よ。影の1人を表に出しますから」


 アモネスが指を鳴らすとドアが開き、誰かが入ってきた。


 すると晃司は背中に誰かが抱きつき、首に刃のない側のナイフが突きつけられているのが分かった。

 女だ。

 ささっと晃司の側を離れ、アモネスの斜め後ろに控えている。

 

 「見ての通りです。彼女もこれから試験を受けます」


 その女はヤバかった。

 目が冷たく、本業として暗殺者をしていても信じる感じだ。


 今回追加試験を受け主人として合格する者は、経済的に断念した者が想定され、国がお金を出す事になったそうだ。

 5名の枠に32人が受けるそうで、倍率が高い。

 そのうち貴族は最大1名のみらしく、平民にチャンスが訪れた形になるのであった。

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