第3話  お願いです

「お母様」

「どうしたの?」


私はお母様に話しかけます。

ライブをお願いするために。


「私、ミントと言うアイドルグループのライブを見たいのですが」

「少し待っていて」


するとお母様は、スマホで何かを検索し始めます。

ミントを知らなかったのでしょうか。


「ねえ、凛音」

「なんでしょう?」

「それって、恋愛の意味で会いたいとかじゃない?」


私はぎくりと身をこわばらせます。

さすが桜井家、恋愛だけには厳しいです!

ミント、確かに会いたいですが、これは『好き』と言っても、『恋』なのでしょうか、ただ単に『推し』なのでしょうか?

ですが、『恋愛』というと、ミントのライブが見られないし、ミントが徹底的に調べられてしまいます。


「恋愛ではありません」

「では、なぜ?」


考えます。

恋愛ではありません。ならば……!


「勉強です」

「勉強?」

「そうです、お母様。ミントの踊り、歌の勉強ももちろんですが、社会的なことを知るためにアイドルグループをみる。しかも、生で見ればいいかと思いまして」


するとお母様は、少し考えてから頷く。


「わかったわ。ライブはオーケーよ。お父様と詳しく相談してくるわ!」


お母様はどこかに走り去っていった。

それにしても、オーケー!

よし!これで、ミントのライブが見られます!

生で見られます!

カイくんにも会えます!

しかしあの言い訳をした分、ノートにメモしなくては、証拠が消えてしまいますね。

本番はノートも必要です。

でもでも!

ライブが、見られます!!!

ああ、楽しみです!

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