祝100♥️ ナニカコ企画 野林緑里 様

 僕が朝というかまだ日が昇ってない時間に起こしてくれた、キリッとしたスーツを着た妻の開口一番のセリフは

 

「お早う御座います!本日は100という記念すべき日でございます。そこで私わたくしどもとしてはあなたさまに感謝の意を表して細やかながらの催し物をすることになりました 。あなたさまには100を祝って楽しんでもらえるように私たちは最善のおもてなしを考えてますのでぜひお楽しみください」

 

 その言葉が終わると、次に気づいた僕の目に飛び込んできたのは、

 

「100回目の転生おめでとうございます」という言葉だった。

 

 サプライズ好きの妻が僕の誕生日に準備したサプライズだろう。妻は今日休むために夜遅くまで残業してて、待てなくて僕は寝ちゃってた。

 

 そして天井に吊るされた手作り感満載のくす玉から垂らされた紐を引く妻。

 

「「・・・」」

 

 開かない。手作りだからテスト不足だろう。しかしだ。空気を読んで待つ。2度目、3度目、無言で引かれる紐と頑なに開かないくす玉。

 

「「・・・」」

 

 たぶんあそこの中にこの後の進行に必要な物がくす玉に入ってるのだろう。冷や汗をだらだら流しながら全力で紐を引くと、切れる!!というお約束を破ってくす玉が開く。

 

 びっしりと詰められてたと思われる紙吹雪で視界が埋まる。そして寝室の床も僕も埋まる。物理的に絶対に入らないと思われるほど入ってた。そりゃくす玉開かないよ。

 

「この中に一枚、転生特典が書かれております。ぜひとも手に入れて下さい」

 

「ヽ(゚∀。)ノウェ、これ何千枚?下手したら万超えてるよね?」

 

「三千を超えてから数えるのを諦めました。たぶん数万くらいかと」

 

「うがー!!やってやる!!僕の転生特典はどこだよ!!」

 

「頑張って下さい」

 

 寝室から去る妻。1枚1枚チェックする僕。そりゃこのくす玉を開けるテストしないよ。ラノベ好きだから嬉しいけど、過去最低な転生特典の渡され方じゃなかろうか?

 

 そして気がつく。袋準備しないとチェックしたのとしてないのが混ざる。というか混ざった。

 

「ウボァー、どんな苦行だよ!!」

 

 そしてラノベならカットされるよ!アニメでもカットされるし、YouTuberもカットするか早送りする地味過ぎる作業だよ。なんですかね。この一センチ角の紙吹雪を1枚1枚調べるだけの時間。

 

「あった、これだろう」

 

 やっぱり地味な作業はカットされ経過する2時間後、僕はの手には、新作アニメの劇場版のチケットが2枚握られている。

 

「見つけたぞ!!僕の転生特典!」


「おめでとうございます。ケーキと朝ご飯の準備が出来ております」


「ありがとう、ご飯食べようか」


 この後の映画を見て帰った僕ら夫婦は寝室にイチャラブしながら入り


「「ウボァー」」


 紙吹雪で寝室は埋まっていた。

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