第59話 かして。





「お姉ちゃん、そっちにいる?」


りゅうちゃんとお互い抱きしめ合って横になってしばらくすると目を覚ましたみほが寝室の扉をノックする。


「そろそろ起きよっか…せっかくみほちゃん来てくれてるんだしさ……」

「う、うん…」


みほには申し訳ないけど、このままずっと抱きしめ合っていたかった。大好きなりゅうちゃんの隣にずっといたかった。だから、りゅうちゃんが起きあがろうとした時、まゆは手に力を入れてりゅうちゃんから離れないようにしていた。


「まゆ……」


 りゅうちゃんは困った様子だった。りゅうちゃんを困らせるのは嫌だ。でも、どうしても離れたくなかった。りゅうちゃんが愛おしくてたまらなかった。


「ごめん…困らせちゃったよね……」


 そう言ってまゆがりゅうちゃんから離れようとしたらりゅうちゃんがまゆを抱きしめてくれた。


「りゅうちゃん、ありがとう」

「うん」

「みほ待たせちゃってるから起きよ。本当にありがとね」

「うん」


 朝からすごく幸せだった。




「朝からいちゃいちゃして……」


 まゆとりゅうちゃんがみほとまゆが昨日寝ていた部屋に行くとほっぺをぷくーっと膨らませたみほがまゆとりゅうちゃんにすごーく不満そうな言い方をしてきた。


「あーあ。せっかく遊びに来た妹をほったらかして彼氏といちゃいちゃですか…」

「ごめん……」

「あーあ。せっかく遊びに来たかわいい後輩をほったらかして彼女といちゃいちゃですか…」

「ごめんなさい……」


 まゆもりゅうちゃんもみほに平謝りだ。突然来たとはいえ一度迎え入れたのにみほをほったらかしにしていちゃいちゃしてたから何も言い返せない……


「許して欲しかったら今日一日りゅうさん一日みほにかして」

「「え!?!?」」


 こうして、今日一日りゅうちゃんをみほに取られることになった。







 

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社会人1年目、犬系彼女と同棲する。 りゅう @cu180401

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