第50話 買い物





僕とまゆの最近のお気に入りカフェでランチしてからアパートに戻ってまゆの車で近くのショッピングモールに向かう。


「せっかくみほちゃんが来てるんだからさ、夜ご飯の買い出しだけじゃなくてたまにはいろいろ買い物楽しんだら?」


いつも買い出しは近所のスーパーかこのショッピングモールで行っている。平日は近所のスーパーで休日はショッピングモールという感じなのだが、まゆはショッピングモールで夜ご飯の材料の買い出しという最低限の買い物しかしない。


りゅうちゃんとの将来を考えて節約。とまゆは言ってくれているのだが、一緒に暮らし始めることが決まる前までまゆは雑貨屋さんとかで買い物をするのが大好きだった。雑貨屋さんでかわいいぬいぐるみを抱きしめるまゆやおしゃれなコーヒーカップの中からどれを買おうか真剣に悩むまゆ、服屋さんでいろいろな服を見てこれまゆに似合うかな?とかこれ、りゅうちゃんに似合うと思う!とか…楽しそうに買い物をするまゆが大好きだし、まゆが買い物を楽しんでいたことを知っているから…たまには節約とか言わないで買い物を楽しんで欲しい。


「うーん。お金貯めないとだし今は我慢かなぁ…」

「まゆ、お金なら僕も貯めてるから…たまには前みたいに買い物楽しんでよ。ほら、せっかくみほちゃん来てくれてるんだからさ、妹に何か買ってあげたら?」

「そーだよ。お姉ちゃん。たまには私にかわいい服とかプレゼントしてくれていいんだからね…」


みほちゃんから援護射撃をもらいまゆを説得しようとするとまゆは困った表情をする。


「まゆ、心配しなくて大丈夫だから」


最後の一押しをするとまゆはちょっと困った表情をしながらもわかった。と返事をしてくれる。


「りゅうちゃん、ありがとう」


僕の耳元でまゆはそう囁いてくれた。こんなやり取りしなくても以前のようにまゆが遠慮なく買い物を楽しめるようにもっと頑張らないとな……まゆにいつも私生活で助けられている分、経済面では僕が頑張りたい。それくらいしか、僕がまゆに返せることはないから。


「みほ、服見に行こうか」

「うん!」


社会人と大学生の姉妹なのに手を繋いで歩くことが自然と出来るくらい仲のいい2人を見てホッコリした気持ちになる。まゆとみほちゃんが手を繋いで歩く姿を背後からスマホで写真に収めておく。その時、ちょうどまゆが僕の方を振り向いたのだが、その時のまゆの幸せそうな表情を見て僕もすごく幸せな気分になることができた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る