第10話 助っ人?

これ以上、彼らと話したところで時間の無駄と悟ったシーラは兵士たちに頼んで彼らを連行してもらう。


「もういいです、あなた方には言語が通じないようなのでこれ以上、話しても意味がないようですね。兵士さん、こいつらを連れて行ってくれますか。おっと、忘れていました。


あなた方が、この三か月間で消費したお金や食べ物などの被害総額は後日、計算した後に侯爵の元へ送りますね。だって、こっちは被害者なのですから慰謝料くらい追加で加えてもらえますよね?」


「はっ、父がお前の要求を呑むわけがないだろう。平民が、思い上がるな!仮にだ、この屋敷がお前のものだったとしてそれがなんだ!父にかかればお前など、簡単に消すことが出来るのだぞ!」


兵士たちが何人もいるこの場所で、なんとアルフレイはシーラを脅迫したのだ。しかし、そんなものははなから意味がない。


「やめておいたほうが良いですよ。あなた方が連行されれば何か問題を起こしたことはすぐに明るみになります。それによって、貧乏なあなたの実家が他の貴族達との縁まで失ってしまえばそれこそ大問題ですよ。


だから、あなたの父上は秘密裏に今回の件を処理したがると思います。そんなときに私が訴えを起こさないから迷惑料も込みで色を付けてお金を払ってと言えばどうなるでしょうね?財政は貧乏なので面識のある貴族に借金をしてでも私にお金を払ってくれるんじゃないですか?」


そんなシーラの言い分にアルフレイは彼女をにらみつけるだけしかできない。少なくとも、彼女の言っていることは可能性としては十分あることだからだ。


そんな風にシーラが二人に最後の別れともいえる話を行っているととある男たちがこの屋敷へと侵入してくる。


その男たちの顔はあまりにもいかつく、どこからどう見ても裏社会の人間だった。そんな男たちの登場に兵士たちの緊張感は一気に跳ね上がる。


「おっと、そんなにムキになるなよ。俺たちはあんた達とやりあおうなんて思っていないさ。俺たちが用があるのはアルフレイとタニラの二人だ。」


その言葉にアルフレイは笑い出してしまう。なぜなら、彼らはアルフレイの父親が助けをよこした人間だと思っていたからだ。しかし、先ほど捕まったばかりなのにそんなことがあるはずがない。このことに気が付かないからこそ、彼は愚かなのだ。


「はははっ、そら見たことか!父が私に助けをよこしたんだ、お前たちなど父にかかれば簡単に始末できるんだぞ!よし、お前たち、さっさとこの縄をほどくんだ!」


「はぁ?お前は何を寝ぼけたことを言っているんだ。なんで俺たちがお前を助けないといけない。」


「な、なんだと!お前たちは父の使いのものではないのか!ならば、お前たちはいったい何なのだ!」


「何って、俺たちは取り立て屋だよ。」


残念なことに彼らはアルフレイが望んだ人間ではなかったようだ。

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