14点目 「ヤバい聞き間違い」       【4/2(土)】

 いやー、昨日はホントよく混みました(笑)

 見事に私の予想が当たりましたね。

 もうとにかく次から次へとお客様がいらっしゃって、日付変わったぐらいでようやく波が引き始めたかな、ってぐらい。大変結構なことなんですが、正直かなり疲れました…。

 さて今日のお話は、そんな忙しい時に私がやってしまった「ヤバい聞き間違い」のお話。いや、我がことながらホント救いようがないな、ってお話です。

 あっ、もちろん腐男子らしい聞き間違いですよ(笑)

 今日のお話は、救いようのない腐男子を哀れみながらお読み頂ければと思います。

 これは、とある忙しい日のお話。

 例によってその日も、私はサキちゃんとお仕事をしていました。その日はとにかく混みまくりで、私とサキちゃんはもうフラフラ…。おまけに例の電子レンジによる飯テロで、もう空腹状態。こうなると人間は段々壊れていきます。ようやく空いてきたかなぁ、って時に、一人のお客様がレジにいらっしゃいました。

 途中まで順調にお会計を進めていたものの、お支払いの時に、事件は起きました。

 「お支払い方法はいかがいたしますか?」

 「ビール券で」

 (え、今何て言った???)

 お客様の仰っている意味が分からず、ほんの一瞬固まる私。

 この時私には、「ビール」が全く違う言葉に聞こえてのです。

 幸いお客様が先にレジ台にビール券を置かれていましたので、私はすぐに自分の聴覚がバグを起こしたことに気づけました。

 そのままその場は何事もないようにお会計させて頂きましたが、私は自分の聞き間違いがあまりに衝撃的過ぎて、しばらくは笑いが止まりませんでした。

 そこへ、バックヤードに備品を取りに行っていたサキちゃんがご帰還。レジ中の端っこで一人クスクス笑っている私を見て、サキちゃんは不審者でも見るような目をしています。

 「何があったん?」

 「ねぇ、サキちゃん。俺ヤバいかも…」

 「えっ、どしたん?」

 「さっきビール券がBL券に聞こえた」

 「はぁ? 何をどう変換したらそうなるのよ」

 「いや、分かんない。もうダメかもしれん」

 「あぁ、哀れだ…」

 サキちゃんが私をかわいそうな物を見るような目で見ています。いや、頼むからそういう目をしないでくれ。

 「もう今日は限界…。さっきから若い男性のお客様全員イケメンに見える…」

 「あぁ、もうそれは手遅れだね……。ダメだよ声はかけちゃ」

 「いや、そう言うサキちゃんも同類でしょ」

 「私はタカハシ君ほど汚れてませんー」

 「いや、きっとお腹空いてるのがいけないんだよ。うん、お腹空いてるせいにしよう」

 もう私は疲れ過ぎて思考放棄状態。

 「いや、いくら忙しかったからって現実逃避しないの。サバンナのライオンじゃないんだから…」

 「何よそれ?」

 「タカハシ君が空腹でイライラして、ガルルルルって吠えてるから」

 「いや、そう言うサキちゃんもお腹空いてるんでしょ? 今日めっちゃ殺気立ってるよ」

 「そりゃそうでしょうよ! こんだけ忙しい上に、さっきからカレーだのペペロンチーノだのレジで温めてるんだから」

 どうやらサキちゃんもかなりやられてるようです。今店内にお客様がいないからいいものの……。

 「まぁそう怒らずに…。落ち着けって」

 これじゃどっちが猛獣か分かったもんじゃありません(笑)

 「サキちゃんは何か面白い聞き間違いとかないの?」

 「あー、『おしぼり』を『お久しぶり』と聞き間違えたことある」

 「マジか」

 「お客様にそれ言われた時、『このお客様いきなり何言ってんの?』ってなった」

 「やっぱそうなるよね。てかさ、冷静に考えたら『BL券』って結構なパワーワードじゃね? 空から降ってこねぇかな」

 「そもそもBL券って何よ?」

 「いや、知らん。BLいっぱい買える券じゃね? あ、自分が望むカプで希望通りのシチュ見れる券、とかも捨てがたいな…」

 「うっわ…。タカハシ君もう末期じゃん…、頼むから捕まらないでよ」

 サキちゃんの視線が痛い(泣)

 「ガチでドン引きしないでよ…。でも最高じゃね? あーBL券欲しいー」

 「そう思うのはタカハシ君だけですー」

 「え、サキちゃんはBL券欲しくないの?」

 「いつまでこんなバカな話するのよ。まぁ、あったら楽しそうね」

 「ほら一緒じゃん」

 「はいはい、そんなものは降ってこないからさっさと仕事終わらせるよー。BLは稼いだ自分のお金で買って下さい」

 「はぁーい」

 こうして束の間のBL話で気力が復活した私とサキちゃんはまた仕事に戻ったのでした。

 さて、欲望丸出しのお話失礼いたしました。今日はここまでにいたしましょう。

 今日もおつき合い頂きありがとうございました。

 またのご来店お待ちしております。

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