喜びのおばあさんと孫娘、そして犬

喜(よろこ)びのおばあさんと孫娘(まごむすめ)、そして犬(いぬ)

 ここは老人ろうじんホーム。車椅子くるまいすのおばあさんが、いぬはなしかけています。

明日あしたねぇ、孫娘まごむすめるのよう。」

 そのかおはとてもうれしそうです。

「…えーっと…」

 でも、おばあさんはすぐにこまったかおになりました。するといぬが、おばあさんのをペロペロとしました。

「そうだ。ペロちゃんだったわねぇ。えらいねぇ。」

 おばあさんはペロをワシャワシャしてあげました。


 つぎです。

「ばぁば!」

 孫娘まごむすめがおばあさんにきました。

「まぁ、おおきくなったわねぇ。…えーっと…」

 おばあさんのこまったかおて、孫娘まごむすめかなしそうになりました。

「ばぁば、わたしのなまえ、わすれたの?」

 おばあさんは益々ますますこまったというかおになり、孫娘まごむすめかおをクシャっとくずして、いまにもしそうです。

 でも、その様子ようすながめていた老人ろうじんホームの仲間達なかまたちは、みな微笑わらっていました。

 そのときペロがあらわれました。花柄はながらのアロハシャツに、はな首飾くびかざり、はな王冠おうかんをして、くわえていた花束はなたばをおばあさんのひざうえにそっときました。

「あらぁ、かわいいわねぇ。はなちゃんと一緒いっしょだぁ」

 それをいて、はなちゃんのかおに、ぱぁっとみがもどりました。

 おばあさんはペロをワシャワシャして、はなちゃんはペロにギュッときました。ペロは尻尾しっぽをフリフリフリフリしていました。

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