第4話 海竜剣とソードマスター
「ストーンよ。これまでの練習で剣による攻撃の基本はわかっているな?」
道場ではドラッケン師匠が待ち構えていた。彼はソードマスターと呼ばれた男だ。
「はい、斬ることと突くことですか!」
「うむ、刃の部分で斬りつけるのか、剣先を突き入れるのかということじゃな。
この二つの基本を組み合わせながら戦う。この時に大事なものが間合いじゃ」
ドラッケンは剣を構えながらストーンに一歩近づいた。剣の先がストーンの鼻のてっぺんをかすめた。
「うわぁ、ぎりぎりじゃないか……危ねえな、先生~」
ストーンの額に冷や汗が流れる。
「どうじゃ、こいつが間合いじゃよ。自分と相手との距離、そして、武器の届く範囲。その攻撃にかかる時間。これらを瞬時に判断せねばならない」
「いちいちそんなこと考えて戦えるかってんだっ!」
「無論じゃ……悠長に考えている暇など戦場にはない。無意識に近い状態で出来るようになるために日々の訓練をしていく。よいか、ストーン! 」
ドラッケンが教える剣術は、『海竜剣』とよばれていた。
いくつもの剣術の流派があり、実戦で役立つものから、礼儀作法のために習う剣術などさまざまであったが、この『海竜剣』はまさに戦いのための剣術であった。
直線的な動きをする流派が多いが、この海竜剣では円の動きを特徴とし、動き回って戦うスタイルである。素早さと体力にすぐれたストーンには向いていた。
「そういえば、なにか教えてほしいことがあると言っていたが、悩みや相談事でもあるのかのう?」
ドラッケン師匠は剣を腰に仕舞った。
「はい、先生。剣術とはあまり関係ないのですが。えっと……王様になるにはどうしたらよいのでしょうか?」
「王様じゃと……、また大そうな相談じゃのう。ところで、ストーンのいう王とは何じゃ?この国には王はいない。わが国スコル大公国で一番えらい人は、大公じゃよ」
「それくらいは知っているよ、先生。それで大公と王はどちらがえらいの?」
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