第2章 4

 北海道警察組織犯罪対策局銃器薬物対策課に烏田慎吾の捜査依頼を青森県警を通してした後、陽介と譲治と章星は、青森県警の銃器捜査係と調書の突き合わせした。彼らが仮眠室で休みを取ったのは深夜であった。

 翌日早朝、北海道警から烏田慎吾を逮捕したという連絡があった。陽介と譲治と章星は札幌市の北海道警本部へと向かった。


「手を替え品を替え尋問しましたが、やはり13丁と言い張っていますね。ロシア当局が今回犯人を逮捕出来たのは、麻薬捜査に付随して出てきたことです。麻薬で流れている金に比べたら、銃で流れている金はたかが知れていますから。銃の数については嘘はついてないとロシア当局の捜査官は言っているようです。なにしろ今回は銃に関しては完全に足取りが掴めているようですから。烏田は間違いなく嘘をついていますね」

北海道警の銃器捜査係、米倉庄司は、小会議室のテーブルの席に陽介と譲治と章星が座ったあと、話した。

「烏田は今回が初めてではないのですか」

椅子を少し前の方へ寄せながら、陽介は言った。

「初めてではないです。相当の回数ですね。その度煩わせられましたね。彼は嘘をつくのが上手くてね。最初の頃はまんまと騙されましたよ。今は我々も彼のことが分かってますから簡単には騙されませんがね」

「烏田の自宅から押収したパソコンから何か出ましたか」

「サイバー犯罪対策課で調べてもらったが、何も出て来なかったようです。丸田から警察の捜査が入るという情報を受けて直ぐに行動したようです。記録媒体はすべて物理的に処分したようです。パソコンのデーターは消去ソフトを使ってすべて消去したようです」

「クラウドにデーターが残っていないでしょうか」

陽介の隣に座っていた糸井譲治が言った。糸井は元々サイバー犯罪対策課にいたことがあって、パソコンとインターネットに関してはかなり詳しい。

「そのクラウドですが、どこのクラウドを使っているのか分からないし。分かったとしてもそのクラウドのサーバーを捜査する許可を得るとなると、可成りの時間がかかるかも知れませんね」

「SNSを調べたらどうですか。名前で検索して案外ヒットするかも知れませんよ」

「これからサイバー犯罪対策課へ行くのですが、ご同行して頂いても宜しいですか」

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