快感レシピ ~ ありふれた食材で異世界をイかせろ

朽木桜斎

00 前置き

「イくううううううううううっ――!」


 悪役令嬢アリシア・ヴォーデンシュタインは、本日3度目の絶頂を迎えた。


 朝・昼に続き、いまは午後の3時だ。


「あへ……はへ……」


 瞳孔がだいぶ上がるようになってきたな。


 完全に白目をむくまでもう少しってとこか。


 体を反らせ、三日月の形になった口からは、とがった舌が飛び出している。


 その先からは、しとどに垂れ流れるよだれが。


「あ……いい……」


 名門ヴォーデンシュタイン家のお嬢様が、股まで開いてなんてザマだ。


 ありゃ、そうとう濡れてるぞ?


 実際に、噴き出した汗が服の色合いを変えている。


「お嬢さま、お気に召していただけましたか?」


「あ、ああ……最高、だ……」


 俺が何か、いかがわしいことをしていると思っただろう?


 ある意味ではそうかもしれないが、そういうわけじゃないんだ。


 俺はただ、食い物を作ってごちそうしただけ、それだけにすぎない。


「カズマ……いったい、この、料理の名は、なんと、申す……?」


 アリシアが無様なアヘ顔でたずねてくる。


「はい、お嬢さま。焼きそばパンでございます」


「焼きそば、パン……はへ……」


 何が起こってるのか、さっぱりわけがわからんだろ?


 俺は異世界へ転生した。


 そしてここの住人たちは、


 少し時を戻して話そうか。


 そのほうが伝わりやすいだろう。


 断っておくが、これは決して特別なスキルじゃない。


 しいていえば「想像力」だ。


 これは俺、安藤和馬あんどう かずまが、ありふれた食材で物語――

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快感レシピ ~ ありふれた食材で異世界をイかせろ 朽木桜斎 @Ohsai_Kuchiki

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