壮大な感じです。
エピソードが進むときに「年代記」の一説を読ませてくれます。本当に個人的な趣味で言うのですが、こういうの好き。
序盤だけ読んでの感想になりますが、世界を統べる王の一人、「民の王」「闇の王」テネブラエさんが序盤の主人公っぽい雰囲気でした。
銀色の巨大な狼フェンリルさんも出てきます。可愛いです。
三人称でかっちりとした王道感を感じさせてくれる地の文→一人称でくだけた感じでライトにしてくれる心情やセリフ、みたいにギャップでも楽しませてくれます。
地名やキャラ名、種族名など、世界観にわくわくできます。ファンタジーがお好きな方におすすめです。
妖精族と盟約を結んだ《ヒト族》が防衛にあたっているカイン城。
そこでとある大隊に所属する男――カイルは特殊な発作を持っていて、最近では原因不明の発作が多発していた。
物語はカイルを中心に進み、本作には様々な種族が登場する。
土木作業が得意な妖精の《ドヴェルグ族》。
命の王アニマモルスの眷属の《ゴブリン族》。
美しい容姿を持ち、千年以上もの時を生きる《アルヴ族》。
数多の種族がいる中、《ヒト族》は唯一魔法のような能力「理力」を持たない種族ではあるが、持ち前の力や知恵を駆使して他の種族に貢献し、慎ましい日々を過ごしていた。
だが、ある日巡検士隊によって黒い棺が発見されたことをきっかけに、運命の歯車が動き出す――。
ファンタジーRPG顔負けの丁寧に作り込まれた世界観がとても魅力的で、本格的なファンタジー小説をお求めの方には特にお勧めです。
黒い棺の正体、カイルの発作の理由……多くの謎が今後の話でどう明かされていくのか楽しみです。