ある日のこと 19

ここはクリエイティブな物書きと、それをこよなく愛する読者さんが住んでいる国『カクヨーム王国』である。


『カクヨーム王国』では、それぞれのカクヨムさんたちが、それぞれの本屋さんを持っている。その本屋さんでは、なんとその店主のカクヨムさん達が書いたお話のアトラクションに、無料で参加できるのであーる。


さて、では本日も、いつもの和響わおんとやらを覗いてみるとするか。何やら今日は朝から真面目に専業主婦をこなし、早い時間からカキカキルームで作業をしていたようだ。もちろんいつもの連載作家気取りコスプレである。自分の近況カフェにある縁側でしばし休憩のようだ。


――はぁ。良かったぁ! 間に合って。今日は三月十一日。二時四十六分には、黙祷をしなきゃだもんね。毎年そうだけど、本当にたくさんのかたが黙祷をしてるのがわかるな。すごいエネルギーを心の奥底で感じるもん。特に今年は平和への祈りも相まって、思わず涙が出てしまった。それは毎年か! ふう、さてさて、では早速、いつものお手紙チェックに行ってこようかな。


「いでよ! 通知!」


と、声に出した。すると、超便利。妄想世界。お知らせ通知がホログラムで浮かび上がった。


――あ! この方さっき大学が卒業できましたって近況ノートに書いてた人だ! 早速本日のKAC2022のお題「お笑い/コメディ」をアップされたんだね! それはそれはぜひ見に行かねば!


「朱紀侍音さんの【センターマイク  作者:朱紀侍音 https://kakuyomu.jp/works/16816927861495611293】へレッツラゴー!」



毎回のことではあるが、大変便利な妄想世界。あっという間に朱紀侍音さんの本屋さんの前についた。どうやらそこは、ラブコメシティのようだ。わちゃわちゃ若いカップルが楽しそうにしている様子。


――おやおや? これは、前に来たことがあるような? あぁ、そうだそうだ! 私の大切な宝物の『秘事は睫』とおんなじタイトルの作品を、書いてた方だ! この作者さんの作品は間違い無いよね!何作も読んでる作者さんだもん♪ 


「では早速、妄想アトラクションにお邪魔しまぁす!」


と言って、ショッキングピンクのポップでおしゃれな本屋さんに入っていった。そして、最新作と書かれたコーナーから、一冊の本を取り出して、頭からすっぽりと その世界に入っていき、妄想アトラクションを楽しんだ。そして何やら涙している様子。えぇ話やえぇ話やを繰り返し、鼻水をすすりながら、元の場所へぽんっと戻ってきた。


――はぁ。えぇ話やったわ。なんか、切なくて苦しくなったけど、一人語りの世界がすごくリアルで、無茶苦茶良かった! 最高か! これはお手紙を書かねば!


そういって、お手紙を書き書き。でもどうやら、えぇ話やぁしか出てこないらしく、


『ええ話でしたぁ〜!文章がうますぎて、ええ話が、もっとええ話になりましたぁ〜(´༎ຶོρ༎ຶོ`)ありがとうございましたぁ!』


とお手紙を出したようだ。なんてそのままの感想なのだ。もっといろいろあるだろうに。


――もうすごい上手な文章で、引き込まれまくった! 本当にこの作者さんは何を読んでも面白い! ではでは。次のお知らせ通知をチェックしようかなっと。


そういって、もう一度通知画面をアップさせる。すると、先ほどカキカキした『平和と祈りの祭典』へのお手紙を発見したようだ。


――わぁい! さっき番外編でご紹介させてもらった、水涸 木犀さんからだ! えっと、なになに? 東日本大震災が発生した3.11に紹介いただき、光栄に思います、って、なんて素敵な方なんだ。もうその一文で胸が熱くなっちゃう。えっと、それで、ふむふむ。……オーマイガ! こ、これはいかん! すぐに書き直しにいかねば!


そう言いながら、急いでカキカキルームで何やら作業をして、お手紙の返信をしたようだ。


「ふぅ、これでよしっと!もう本当、申し訳なかったです! 勉強不足ですいません! 現代ファンタジーシティの方が、たまたまKAC2022作品のために、現代ドラマシティに本屋さん出してるだけだったんだ!」


そう独り言を言って反省し、


「 いでよ! 水涸 木犀さんの代表作!【八時の魔法~記憶喪失の僕は、猫になってクール系タラシの女子大生に拾われる~  作者:水涸 木犀  https://kakuyomu.jp/works/16816700429221531909】」


と、声に出した。すると、目の前にホログラムが現れ、その中で若い女性と猫が変な共同生活をしているような絵が、コミカルに動いている。なんとも楽しそうなお話だ。


――すごい面白そう! こ、これはカクヨムコン作品!て、ことは長編だよね! これはどっぷり一気に妄想アトラクションのやつだ。……でも今はすぐには楽しみに行けないな。うむ。致し方ない!


「読みたいリストの本棚へストーック!」


と言って、自分のお気に入りばかりが入っている本棚へと一旦しまうことにしたようだ。

大丈夫だろうか。本棚のストックがかなり増えているのに......。


こうして、今日も和響とやらのカクヨーム王国での日常は平和にすぎて行くのだった。


様々なジャンルの人が仲良くできるカクヨーム王国のように、現実世界も、早く平和になってもらいたいものだ。



最後に、十一年前に起きた東日本大震災でお亡くなりになられた方々や、今、世界のどこかで起っている戦争で亡くなられた方々に鎮魂の祈りと、世界が戦争のない、平和な世界になりますようにと、祈りを込めて。



――黙祷。




優しい光に包まれて、世界が平和になりますように。

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