恋愛クソ雑魚さんだから

「おお、伎織しお。珍しいな俺の学校にくるなんて」

「はい、兄さん」


 待っていたのは俺の妹の伎織だ。

 俺に良く懐いていて、いつも俺のあとをついてきていた。


 今はというと礼儀正しく清楚系な美少女になった。うん、素晴らしい成長だ。


「それと…… 依子さんもこんにちは」

「あ、うん。こんにちは」

「それで伎織、なんでわざわざ学校へ?」

「たまには一緒に帰ろうかと思ったのと……ちょっと聞きたいことがありまして」

「聞きたいこと? どっちに?」

「元々兄さんに用がありましたが、都合良く依子さんもいらっしゃったのでお2人に。まぁ、今日も2人で帰るんだろうなという予想はできていましたが。じゃあ単刀直入してに言います。お2人は———付き合っているのですか?」

「「!?」」


 まさかの質問に2人して驚く。


「ど、どうしてそんなことを聞くんだ……?」

「兄さんが依子さんのところへ泊まってきたと言ったあの日、明らかに様子がおかしかったので、てっきり進展したのかなーと」


 あー……確かにあの翌日は……。


 隣の依子がジト目で見てくる。

 

 こ、これに関してはしょうがなくないですか?


「それで、実際のところ付き合っているんですか?」

「い、いや、その……」

「残念ながら付き合ってないよ。ね、透矢」

「お、おう……」


 それから依子の告白を俺が保留にしていることを話した。


 伎織はなるほど、納得したように頷いたと思えば、

 

「兄さんがいけないんですね。恋愛クソ雑魚さんだから」


 清楚の見た目とは反対にそんな言葉を吐いた。とても笑顔で。


 甘えん坊な妹は成長しましたよ、ほんと……。


「……恋愛クソ雑魚さんとは酷くないですかね、妹さんよ」

「本当のことだから仕方ありません。無自覚に惚れさせるのに、いざとなったらこうも鈍感でヘタレで一向に関係が進まない……女の子は大変ですよ」

「伎織ちゃんの言っていること、めっちゃ分かる」 

「依子さんもご苦労を……すいませんうちのお兄さんが」

「大丈夫。伎織ちゃんは全く悪くないから」


 女性陣から無言の圧力。

 すいません……ほんと、すいません……。


「私としてはまだまだ聞きたいことができちゃいました。とりあえず立ち話も何ですし……依子さんもうちに来ましょうか」

「「え?」」


 

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