第3話 本音の在処

 綾子はペンを置き、深く息を吐いた。

 最後の最後に、大胆なことを書いてしまった。

 お祭りに一緒に行ってくれだなんて。


 追伸でおちゃらけて誤魔化してはみたけれど、この一文の熱を冷ますには至らない。

 書いている時は一気に書いたけど、こうして読み返してみると顔から火が出そうになる。

 早く封筒に入れてしまおう。


 綾子は六枚の便箋びんせんを重ねて三つ折りにすると、あじさい柄の封筒に入れ、糊で封をし、宛名を書いた。

 書き終わると、かすかに眩暈めまいを覚えた。

 慣れないことはするものじゃない。少し横になろう。


 綾子は机に手紙とペンを置き、布団に身を横たえた。

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