第30話 白愛会の集結

黒戸 白が怪我から学校に復帰する当日、黒戸 紅はいつもの様に白に甘え、これから始まる壮絶な戦いの英気えいきをもらい、白が登校する前に戦いの準備をする為にいつもより早めに家を出た、家を出ると直ぐにスマホを取り出しある一件の登録者に電話を掛ける、相手は直ぐに電話に出た。


「もしもし、いま家を出たわ、これから白愛会は東桜台高校周辺の守備に着くから、あんたには渡した情報通りに久須 竜也のお兄ちゃん殺害阻止をしてもらうから失敗は許さないわよ! 私が独断であんたに情報を横流ししてるんだからそれに見合った活躍してもらうわよ……茜」

電話の相手は暗黒白虎組組長、鳳凰院 茜であり、紅は歩きながら茜に対して家にいた時とは違い、物凄い覇気を帯びた声色で話す。


『うっふっふっふっふ、分かっております紅はん、あんたから貰った情報には感謝しておりますし、白ちゃんをやった久須とか言う糞餓鬼くそがきには地獄を見せてやりますよてフッフッフッ

……だから安心して白愛会の皆さんは白ちゃんに集まる汚い虫共を叩いて下さいな』

茜は紅の覇気をまとった様な声色とは正反対に落ち着き、力が抜ける様な口調で応える。


「ふん! 本当にあんたは掴み所が無いと言うか、あんたと話してると気が抜けるわ……まぁいい、茜の強さだけは信用してるから、ここからは一切の連絡しないから後は任せたわよ」

紅は確認の連絡をすると直ぐに電話を切り、歩く速さを上げ桜野中学校へと向かう。


ーー

ーー

ーー


〜桜野中学校〜


黒戸 紅が学校に着くと、既に校庭には白愛会の幹部面々が既に臨戦態勢で待っていた。


「遅いですよ紅会長」

黒縁眼鏡くろぶちめがねに黄緑色の髪を三つ編みにした、白愛会副会長の緑川みどりかわ しずくが紅に声を掛けると。


「我々は準備万全です!」

ショートカットヘアーの明るい青色の髪のボーイッシュな白愛会隠密部隊隊長の渋谷しぶや りんが闘志剥き出しで今回の作戦の精鋭の状態を報告。


「えっ!? あ、あ、そ、そう……みんな気合いが入ってるのね、ちょっと気合い入りすぎじゃない? まぁそれだけお兄ちゃんの事を思ってくれているってことよね」

紅は白愛会精鋭部隊が少し気合いが入り過ぎている事が気になったが、それも白を想っての事と受け止めた。


「そりゃそうです、今回は事前情報も押さえ、あの骨川財閥に一矢いっしむくいる絶好の好機、そのまま骨川財閥を滅ぼす事すら出来るかもしれません!」

紅の言葉に、甘橙色おれんじいろの髪をツインテールヘアーにした諜報部隊隊長の小林こばやし かおるが反応した。


「んっ、んっ!? ちょ、ちょっといいかしら……今日はあくまで白お兄ちゃんの学校復帰を見守り、邪魔をしてくる骨川財閥関係者を排除する事が目的である事は忘れてないわよね……」

紅は少し集まった白愛会メンバーとの作戦に対する相違がある様に感じ冷静に話す。


「「……分かっています」」

紅の言葉に全員が一瞬の間を置き反応した。


「そ、そう……それならいいんだけど」

紅は一瞬の間が気になったが、今になって話し合う時間もない事から取り敢えず納得し、今回の作戦を話す。


「今回は東桜台高校に骨川 糞夫が荒くれ者の傭兵を周辺に集め、白お兄ちゃんを学校で襲撃する事を考えているわ、あの学校だけじゃないけど、東桜台高校も骨川財閥の息の掛かっている学校、もし学校でなんらかの不祥事が起ころうとも揉み消す事も容易……それが死亡事故でもね、だから学校周辺に集まる骨川の荒くれ者共を隠密部隊、諜報部隊の面々で討伐してもらい、学校内部でのお兄ちゃんの事は私と雫が担当するわ、ただ皆んな分かっていて欲しいのは私達の存在はお兄ちゃんに知られてはいけない、仮にお兄ちゃんに何があっても私達は見守るだけだって事を……だからお兄ちゃんに最悪な事が起こらない為にも久須は必ず叩く、情報によればたぶん骨川は自らの手を汚さない様に久須 竜也を使いお兄ちゃんを殺害すると思われる計画を立てているらしいの、なのでそっちの方は私が別件である人物に久須を抑える依頼をしてあるわ、だから皆んなには東桜台高校の方に専念し力を注いでほしい」

紅は今回の作戦の大まかな概要を説明。


「はぁ!? ちょっと待って下さい、見守るだけ? 白さんが襲われると分かっていてですか……それに別件で依頼ってなんですか? だったら私が久須をぶち殺して骨川 糞夫もって来ますよ!」

隠密部隊隊長の凛が吠える。


「そうね、あなたたちの気持ちは分かるは、でも白愛会の目的はお兄ちゃんを影で見守り、お兄ちゃんの平穏な生活を送ってもらう事で、私達がしゃしゃり出てお兄ちゃんを助けるなんてご法度、あなた達なら分かるでしょ、お兄ちゃんの性格を? 私達が表立って動けばお兄ちゃんは深く関わろうとする、それだけは絶対にダメ! それにあなた達が久須や糞夫をりたいのは理解してる……ただあなた達じゃ糞夫に勝てても久須 竜也には勝てない……ごめんなさい、あなた達が弱いって言ってるんじゃないの、ただあの男は私ぐらいに強い……動画配信にがってる映像を見れば分かるわ、それが分からない時点であなた達に久須を倒せない、逆にられるわ……だからあなた達には今回は任せる事は私には出来ない」

紅は真剣な表情で答え、その場にいる全員が拳を握り黙り込む。


「だったら……その紅会長が依頼した人物は久須に勝てるとでも?」

諜報部隊隊長の薫が噛み付く。


「そうね、その人は下手したら私より強いかも」

紅はあっさりとした清々しい顔で答えた。


「「……」」

白愛会精鋭部隊の全員は何も言えなかった、それもそのはずだ、黒戸 紅の強さは白愛会メンバー全員が知っている、その本人が簡単に相手の強さを認めるのだから、もうそれ以上何も言う余地は無かった。


「ほら、こんなくっちゃべってる時間は無いわよ! 早くしなきゃお兄ちゃんが学校登校しちゃうわ、みんなお兄ちゃんの登校してる姿見をたくないの? 早く着いた人は私の家でお泊り会に招待……」

紅は場の空気を変えるかの様に声色を変え、明るく冗談を言うように話す。


すると全員の目の色が変わり真っ先に東桜台高校へと向かう競争が始まった。


「ちょ。ちょっとあんた達、待ちなさい! 会長を差し置いて先に行く普通!?」

紅が叫んだ頃には全員が既に姿が見えないくらい先に行っていた。

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