最高のサプライズ
金髪の天使は賢士の時の変化を確認し、『面白くなりそうだ……』と呟き、田園都市線に沿って空を飛び、藤が丘の教会へ向かう。
賢士は怜奈の提案に「わかった。連絡を待っている」と丁重に頭を下げて別れ、マンションの階段を弾むように駆け上がって部屋へ戻った。
怜奈は駅へ歩きながら『恋のリベンジ』サイトの掲示板に書き込みをし、改札を通ってメンバーの返信を待つ。
【皆様へ、ケンジの恋人候補を私たちで決めませんか?】
(以前、ケンジの理想の恋人について話題になりましたよね。先程、賢士に私が心当たりの女性があると話したら、興味を示して逢いたいと言われました。復活祭を三日前にして、私たちにサプライズが舞い込んだ。茨の冠を贈るだけでなく、賢士の恋に立ち会う事ができるかも。)
ホームに電車が到着して、座席に座ってスマホを見ると、早くもサイトの管理者でリーダー的な存在である山崎貴子からコメントがあった。
[最高のサプライズじゃないか。ケンジの恋の運命を私たちが握っているという事ですね。怜奈の推す『恋人候補』を私たち七人で審査しましょう!]
山崎貴子はすぐに怜奈の考えを理解し、メンバーを招集して計画を進めた。貴子は有能なキャリアガールであり、賢士の一番目の元彼女で全員に信頼されている。
[恋のキューピッドになるか?それとも悪魔になるか?参加希望者は書き込みなさい。『恋人候補』を採点しに行くわよ。]
数分後には掲示板に全メンバーの書き込みが並び、怜奈は新百合ヶ丘駅に着くと急いで家に帰り、二階の部屋に入ってデスクのノートパソコンの電源を入れ、サイトを開いて参加表明と感謝のコメントを見て胸が熱くなった。
[ありがとう怜奈。会社に休みの連絡をした。絶対参加します。]
[面白そう。這ってでも行く!怜奈ちゃん、ステキ]
[審査員やります、復活祭を前にこんなサプライズがあるなんて、夢じゃないよね。]
[私の採点は辛口だぞ。参加します。]
[怜奈ちゃん。ありがとう。私も飛んで行きまーす。]
既に怜奈と貴子はLINEで相談して待ち合わせ場所と時間を決め、メンバーの参加表明の最後に貴子のメッセージが書き込まれ、怜奈は椅子に座ったま笑顔でガッツポーズをした。
【青葉台駅改札口付近に9:00に集合。その後、カフェ『Maybe』に向かい、『恋人候補』の審査を行います。】
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