第6話 建築物とモンスター

「さて、じゃあ何をするか…」

「おう、どうする」

「何するのー?」

「zzz…」


 俺の周りに2人が纏わりつく様に集まる。


「見られ過ぎるとやりにくいんだが…」


 ルイエは盛大に寝ているが…。


「それこそ俺達がやる事なんて限られている。ルイエの様に寝るぐらいしかない」

「アノムの見てた方が面白いー」


 今、俺の周りに居ないとコイツらは生きていけないに等しいからな…洞窟にいる限りは大丈夫だろうが1人で外に出るとなったら…数分で凍え死んでしまうからな。


「じゃあ…取り敢えずは気になる事からやって行くぞ。これは恐らく最優先事項、そして此処に住んでいくとしたら重要になる事だ」


 俺はボードを操作して行く。


 *****


 建築物一覧


 *****


『建築物一覧』という項目を触り、建築物とその建築物に掛かるDPが表示される。


「これだ!!」


【設置しますか?】


「はい!」


 ボンッ


 俺がその項目に触れると大きな音が鳴り、洞窟の一角にドアが出現する。そしてその中には…。


「これで…俺達の問題は解決だ!!」

「おーっ!!」


 そこには手を洗う蛇口が付いた、真っ白でピカピカなトイレが出来ていた。

 しかも、最近巷で噂の最新式水洗トイレ。掃除しなくても、使った瞬間に綺麗さっぱり掃除するというアレだ。


 それを見たエンペルはトイレの中を身を震わせながら、あちこち跳ねて見ている。


 俺達の問題は俺のダンジョンの領域から出たらダメな事。この雪山なら、それは必須。トイレに起きた時、皆んな近くまで行かなければならなかった。エンペルとルイエは泣きそうになっていた…本当に申し訳ない。


「アノムー!! ありがとー!!!」

「お、おぉ」


 エンペルが大きな声を上げて、俺に飛びかかって来る。


 まさかここまで喜んでくれるとは。本当に良かった。


 しかし、DPが50 P掛かり、これでDPは110 Pから一気に60 Pになってしまった。


 だが、50 Pでこれほどの物が出るなら、他の物を作る時にはどれほどの物が出るのだろうか…気になる…けど。


「取り敢えず節約しないといけないな」

「待ってくれ」


 そう言った瞬間、今まで黙っていたガギルから声が上がる。


「どうした?」

「俺は別にトイレはこのままでも良かっ、ぶふぅっ!!?」

「うるさいねー…ちょっと静かにしてたらどうなのー?」


 エンペルの体当たりがガギルの顔面を直撃する。


 トイレこのままで良かったって…ガギル…それは男の俺でも引くぞ…。


「ち、違うくてだな!? 俺はもっと面白そうな物が見れると思ってワクワクしてたんだが!?」


 ガギルの言い訳か、それとも誤解を与えてしまった為の抗議の声か、エンペルはガギルをジト目で見る様に黙って見ている。


 ハッキリ言って怖い。


「…エンペルさん…罪状は?」

「しけーい」

「ほ、本当なんだ!? 信じてくれ!!」


 ガギルはエンペルの前で跪く。


 ガギルの言っている事は理解出来る…だけど言い方が悪かったよな。


 俺は少し哀れに思いながらも、2人から少し離れてボードを操作する。


 *****


 モンスター召喚一覧


 *****


「んー…どれが良いか…」


 ガギルが面白そうだと思う物…そして俺も気になっている物、やはりモンスターだよな…。


 そこには色々な魔物の種類、説明、コスト数が書いてあった。

 どうやら、魔物とモンスターの名前はそう変わらないらしく、そこには俺達の種族名も存在した。


 ウルフにゴブリン、スライムにラビット…やっぱり低コストで召喚出来るな。これだから最弱魔物は幸づらい。


 そんな事を思いながら低コストで召喚出来るモンスターを探す。


「なるべくガギルの興味を引いて…低コストのモンスターはっと…ん?」


 俺はあるモンスターの項目で目が止まる。


「これなら良いかもな…低コストで面白くて弱い俺達にとって強さと言う将来性がある!」


 トンッ


 俺はその項目に触れた。


【召喚しますか?】


「はい」


 そう言うと俺の目の前で、円形に光が輝いた。

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