第5話 未来チケット使用



 結局、昨日寝れた時間は一時過ぎとなり、起きた時間は朝九時丁度。

 それでも休みの日はいつも昼近くまで寝ていたことを考えると、大分早い起床となった。


 寝るのが遅くなった原因は、言うまでもなくガチャのせいである。

 今後の生活がどのように変わっていくのか、ワクワクとした気持ちが湧き上がってきて眠気が吹き飛んでしまい、おかげで寝るのに時間がかかった。


 だからといって文句など微塵もない。

 何故ならガチャのおかげで俺の人生が豊かになることはほとんど確定した事実であるからだ。

 夜ちょっと寝れなかったくらいでめくじらなど立てるわけがない。というより、勝手に盛り上がった寝付けなかった俺が悪いで話は終わりだ。


 そんなことを心の中で考えているうちに朝食を取り終え、朝の身支度も済ませた。


 今日の予定はまず宝くじを買う。そして次に美容室に行ってボサボサヘアーを整える。後は最低一回以上ガチャを引く、だ。

 ガチャに関しては一回のポイントを集めるのに一時間近くかかるので、一日一回を最低ノルマとしてポイントを集め、できれば複数回引けるように時間を見つけてはスマホをタップしまくろうと考えている。


 と、その前にまずはレインで派遣のバイト先に来週からは仕事を辞めることを伝えておこう。

 忘れないうちに済ませなければ、最悪来週もシフトを入れられる羽目になりかねないからな。

 そうしてら連絡を入れると『了解です』という適当な返事がきた。

 これで本当に辞められているのか疑問に思う人もいるだろうが、俺の知り合いも同じような連絡をしたら同じような返事が来ていたと聞いていたので、何の問題もない。

 派遣のバイトなんていくらでも代わりはいるということだ。


 そういうわけで、これではれて明日でバイト生活を終えられることが確定した。


 気分も良くなってきたところで、宝くじを買いに行く前に美容室の予約を済ませておく。

 予約なしで行って空いてませんでしたなんてバカみたいだからな。


 これまでは千円カットで適当に切っていたが、せっかくイケメンになったのだから髪型もオシャレにしたいというわけで、ネットで昨日調べておいた近場の美容室に電話する。

 案の定今行っても空いてないようで、二時間後の十二時で予約を入れることになった。


 予想通り間が空いたので、この時間を有効活用するために、宝くじを買いに行くことに決めた。


「その前に未来チケットを使っておくか」


 既に調べる宝くじの種類は決めている。


 俺が今日買おうと思っていているのは、明日が抽選日のロッドセブン、最高当選金額八億円の宝くじだ。

 今は十五億のキャリオーバー中なので、仮に複数当選者が出たとしても、最高金額がもらえる確率が高い。

 もしも仮に俺だけが当選者だった場合は、キャリオーバー中でももらえる金額は最高八億まで。

 ただ、これは普通に一口だけ買えばの話だ。

 ここで俺が二口買っていれば、もしも当選者が俺だけだった場合は、二口分の最高当選額である十六億をてにすることができる。

 故にキャリオーバー中は、多くの人が二口以上で購入するらしい。


 そして俺も同じだ。


 今回俺は一応三口購入しようと思っている。


 最高二十四億円、最低でもキャリオーバー中だし十億以上は確定だ。


 そうしてはれて億万長者の仲間入りである。


 ふふふっ、今から楽しみだぜ。


 

 早速ストレージ画面に移行し、昨日当てた未来チケットを使い、明日のロッドセブンの当選番号を調べる。

 01.05.08.10.15.18.19。

 これが当選番号である。

 番号は最大で38番まであるのに、前半だけで固まっている。これは中々当てるのが難しい抽選結果だろうな。もっとも、そんなの未来がわかってしまった俺には関係ないがな。



 当選番号が分かったところで、意気揚々と一番近くの宝くじ売り場に足を運び、

 先程分かった当選番号のものと一応痛くない腹を探られないよう外れ番号のくみあわせのものも四通り選び、合計で五通りをそれぞれ三口ずつ購入。一口三百円なので、四千五百円の出費だ。今までならこれだけの出費でも結構痛かったが、今では無傷でなんの感情もわかない。

これからはこの程度の金額は俺にとってすれば一円とさして変わらないことになるからからな。本当にタップガチャアプリ様々だ。


 そうだ、せっかく宝くじ売り場に来たのだから今のうちに鑑定が金稼ぎに使えないから調べておこう。

 俺は売り場のおばちゃんにスクラッチくじを買うことを告げて、自分で選びたいからあるもの全部を出してくれと頼み込む。

 俺がもし仮に売り場の店員だったら、なんだこいつめんどくせえなクソと思い顔に出ていたろうが、このおばちゃんは嫌な顔せず俺のいう通りにしてくれた。


 そして素早く一つ一つに鑑定をかけていき、その中に五万円のあたりがあるものを見つける。

 ぶっちゃけしょぼいと思っていた鑑定がここにきて本領を発揮してくれた。

 腐ってもレアスキル、人間には大して使えなくても、金稼ぎには割と便利であることがここに証明された。

 今更五万円の宝くじを当てたところで、既に億万長者になれることがわかってる俺からすれば大した金額でもないのだが、貰えるものは貰っておく主義なので、ありがたくおばちゃんに見つけたものを告げて購入し、その場で見事大当たり。五万円分のスクラッチを交換し、その場を去った。



 予定外の儲けが出たところで、まだ時間は一時間半以上ある。

 どこで時間を潰そうかと考えて歩いていたら、ちょうど視界にびっくりゴリラを見つけたので寄ることにした。

 朝食を食べたばかりなので、アイスとドリンクだけ購入して、スマホをタップしながらちまちまと食べて時間を潰す。

 食べながらだったので、少し時間がかかったがなんとか一時間ちょっとで一回分のガチャポイントが貯まった。


 美容室の予約時間にはまた二十分あるが、その場に行くのに時間が十分少しかかるため、ガチャを引くのは後の楽しみにしておく。


 アイス一つとドリンク一杯で一時間以上滞在していた俺に嫌な顔ひとつせず会計してくれた可愛い感じの店員さんに見送られ、俺は店から出て美容室へと向かった。

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