第12話 夏休みがやってくる


 運動会で大活躍した俺は、その後数日間に渡りクラスメイト達からチヤホヤされまくった。

 僅差での白組の勝利に色んな種目で貢献してみせたのだから当然の結果とも言える。

 優菜にもカッコよかったよなんて直接言われたし、他の女子達からもすごかったなどとお褒めの言葉を授かった。もちろん男子からはもみくちゃにされた。学年一の俊足綾瀬川に勝ったのだからこれくらいは普通だ。

 そして、そんな綾瀬川とは運動会が終わってからさらに仲良しになった。前世では中学で一緒のクラスになるまでは普通くらいの仲だったのに、今では別クラスなのに中学時代まで仲がいい。今度一緒にサッカーをやる約束もした。

自分の得意分野で俺を負かそうとしているのだろうが、球技系は未来知という最強チートがあるので簡単に負けるつもりはない。それでも自力の差が圧倒的にあるので、勝つ自信は全然ないので、それまでにコソ練でもしようかと考えている。家には一応サッカーボールがあるので、独学だがしないよりは善戦できるはずだからな。


 小学五年生に逆行転生してきて、俺の過去はかなり変わった。

 前世では周りから頻繁に声をかけられる存在ではなかったのだが、運動会で活躍するだけでこれだけ変わるなんて思っていなかった。

 せいぜい多少は持て囃されるだろうなくらいに考えていたのが、いい意味で裏切られたともいえる。

 ただ、それだけの沢山の子達全員を相手にするのがかなり大変だった。

 だからといってチヤホヤされているわけだから悪い気分ではなく、俗に言う嬉しい悲鳴というやつだ。


 運動会以外でも俺は当然目立っている。

 最近行われた社会と算数と国語と理科のテスト全てで百点を取り、周りに頭の良さもしっかりとアピールした。当然凄い凄いとみんなから称賛を受けている。

 念のため未来知を使って答えを調べたが、きっちりと実力で百点を取れていたので、これまでの勉強の成果も同時に確認できた。

 まだ内容が小学校五年生の問題なので、大人まで成長したことのある俺が誇れるものでもないが、前世では時たま酷い点数を取り、百点なんて滅多に取ったことのなかった俺からすれば、大きな改善であり、確かな成長でもある。


 その後の日々は、特に目標とする行事もなかったためあっという間に過ぎ去っていった。


 もちろんこの間で運動も勉強も継続しているし、当然毎日必ず射精もしている。

 七月の半ばごろにはついに一日の射精回数も六回となり、調子の良い日は七回出しても余裕なほど精力と体力もついた。

 運動会前の追い込み時に毎日七回は結構大変だったので、この短い期間の中でも着実に成長していることを実感できた瞬間でもある。


 そして、七月の中頃を過ぎて数日が過ぎ、児童にとって待ちに待った日、一学期の終業日がらやってきて、夏休みの幕が開けた。

 俺の夏休みの予定は既に半分がバスケットボールの練習で埋まっていて、その他の日も大抵は勉強漬けの日を数日やギターの練習漬けの日を数日予定しているので、あまり休みと呼べるものではない。

 それでも一日の自由時間はこれまでの数ヶ月の日ではないほど有り余っているので、友人と遊ぶ約束もしている。綾瀬川とのサッカーもそのうちの一つだ。


 ただ、一つ飛び抜けてとても重要な約束がある。


 それはなんと、その約束の一つに優菜とその従姉妹である雪ちゃん二人と遊びに行く予定があるのだ。

 この約束は最初は優菜と二人で遊ぶという予定で夏休みに入る数日前に取り決められていた。だが、それをなぜかは知らないが彼女が従姉妹の雪ちゃんに自慢のように話したところ、自分も一緒に遊びたいと願い出てきて、結果三人で遊ぶことになったというわけだ。


 別に俺と付き合っているわけではないのだから二人で遊ばなくても問題ないよねという正論を雪ちゃんが優菜に突きつけたようだが、まさか雪ちゃんは俺のことが好きなんだろうか?


 いや、まだそう断言するには早計すぎるな。良くて精々気になってるとかそんなところだろう。それに優菜ちゃん含めて、小学生の恋愛感情なんて遊びみたいなものだ。当然小学校時代から彼氏彼女の関係になったところで、殆どが中学生までに別れるだろうし、大人になっても続いているなんて都市伝説並みの話だ。

 故にここは焦らず二人を徐々に俺に惚れさせていくのが大事だ。


 幸いにも俺は小学生にしては、金をそこそこ持っている。

 現時点で遊びに一、二万くらいなら使っても大したダメージではない。

 小学生で昼食を奢ったり、高価なものではないがプレゼントを送ったりすれば、間違いなく好感度は稼げるはず。そこで俺自分でちょっと稼いでるんだ。なんて告げた日には好感度爆上げ間違いなしである。



 よし、そうと決まれば、今のうちにプランを練っておこう。


 少しでも多く好感度を稼ぐ為に、俺は夏休みに入ってから遊ぶ日までの数日間、毎日必ず三十分ほどかけて必死にハーレムデートのプランを練るのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る