あとがき

『半分くらいの月』


空を見上げると

月が

半分くらいになって浮かんでいる



失くした半分はどこへやったの

どこへ

流れていったの


あたしが失くしたあの人のように

どこかへ去っていってしまったの



ひとりで

月を見上げながら、想う


悲しいけれど

淋しいけれど


あたしの内に

あの人への想いが残っている


あの人が

あたしに残したもの

あの人が

あたしに教えてくれたもの




いろんな気持ちを知った

あの人に恋する‘いろんなあたし’がいた




あたしの半分のようだったあの人は

去っていってしまったけれど

残り半分の

あたしと、あたしの想いは

ここにある


あたしは

ここにいる


空には

半分くらいの月が

ひそやかに

でも、力強く輝いている







*****


ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございます。


このお話は、私が生まれて初めて書いたお話になります。


普段は詩と140字のショートストーリーを書いて公開しており、一話目とこのあとがきに載せたものは、カクヨム内で公開済みの詩を手直ししたものです。


今回、この企画を知った時に真っ先に浮かんだのが、この彼のことでした。

そして、書いてみようか、と思ったのです。

私の中の一番奥に深くしまいこんである恋の記憶。

詩としては、彼との思い出はいくつも書いてきましたが、お話として書くのも、やはり彼のことしかないだろうな、と。


実際に書くにあたっては、かなりフィクションを織り込みましたが。


大切な思い出を『詩』という形ではなく『物語』として書き綴ることは、私にとってはなかなか大変な作業でした。

それでも、書き上げられたこと。

こうして、どなたかが目にしてくださること。

今はそのことがとても嬉しいという気持ちでいっぱいです。



言わせてもらえるならば。


あたしの半身だった彼がどうか幸せでありますようにと。

穏やかに過ごしていますようにと。

そう願いを込めて。


このお話を書くにあたり、背中を押してくれてアドバイスもくださった師匠へ。

そして、読んでくださった皆さまへ。

心からの感謝を込めて。


本当にありがとうございました。










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あたしの半身 静野 ふゆ @ponmama

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