第18話 クンクンクン



「ただいまぁ〜……」


 俺はあの後、何ども値引きしようと試みたがすべて失敗に終わり仕方なく手持ちすべての2000万リースすべてを払ってきた。


 そうして宿屋に戻ってきたのだが……。


「クンクンクン……」


 髪がボサボサで、おそらく寝起きでろうミラが俺の服の臭いをずっと嗅いでいる。


「えっと……ミラさん? そんなに体の臭いを嗅いでなにかあるのかな? もしかして体臭? 俺、そういうの結構気になるんだけど」


「これは……女です!」

「ミラ! それは本当なの!?」


 ミラがそう言うと、ベットの上で着替えをしてきたキャシーが飛び上がって聞いてきた。


 なんで、そんなに慌ててるんだよ……。


「はいっ! 間違いないのです! ロンベルト様の服から知らない女の臭いを嗅ぎ取りました!!」


 ミラはキャシーのもとに行って報告した。


「ロ、ロ、ロ、ロンベルトさん……どういう……」


 キャシーは手で口を抑えながら、信じられないというような顔をしながら見てきた。


 なんかものすごく変な誤解されてく気がするんだけど!


「いや違うからね! ほら見てこの新しい服! この服を女性に作ってもらったから臭いがするんだよ」


「なぁ〜んだ。そういうことなんですか……」


 ミラはどこかつまらなそうにして言った。


「なんだってなんだよ」


「ロンベルトさん。なんで、新しい服を女性から買ったんですか?」


 キャシーはまだなにか俺のことを疑っているのか、眉をひそめながら聞いてきた。


 ふふふ。キャシーは他の女性が絡んでくると、積極的になる気がする。まぁ、独占欲が強いのは嬉しいんだけどね。


「……変な勘違いをしないでよ。これは、ある専門の服屋さんにスキルを使っても汚れないものを作ってもらったんだ。ほらこの服の色、かっこいいだろ?」


 俺はそう言って服を見せびらかした。


 2000万リースだそ? 2000万。もしこれでダサいとか言われると結構傷つきそうなんだけど……。


「はいっ! さすがロンベルトさんです!」


 ミラは目をキラキラさせながら俺のことを見てきた。


 ふぅ〜……良かった。

 こういう反応を待ってたんだよ。

 安心。安心。


「いやぁ〜……なかなか高い買い物だったよ。おかげで懐はすっからかんになっちゃったんだけど……」


 すっからかんというか、もう魔石の売却分は使っちゃったんだけどね。けどそれ以上にいい買い物ができた気がする。高かったけど。


 あと俺たちのお金は1000万リースしか……。


「あれ? ここにあった1000万リースはどこにいった?」


  

  




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