自由であるということ

宿題、先生、校則。

僕は色々なものにしばられている。

もう自由にさせてくれないか!!


僕は町の歯医者さん、白瀬先生に相談した。

先生はまず僕の頭に手を乗せ、語りかける。


「規則っていうのは、ないとつまらないんだよ」


僕には何のことか分からなかった。

規則が僕を不自由にさせているのに。

先生は続ける。


「君くらいの年齢ならまだ分からないだろう。でもね、もう少し大きくなったらわかる」


僕の頭は不思議でいっぱいだ。


「規則があって、それをやぶることが楽しいんだ。そしてやぶれる程度の規則がなくなると、どこか退屈になるんだよ」


それは不良になるということかな。

僕は少し理解した。


するとクリニックのドアが激しく開かれた。

入ってきたのは若い女の人だ。

泣きながら先生を指差し、となりにいる二人の警察官に叫ぶ。


「この人です!この人に間違いありません!」


警察の人たちは先生に頑丈なブレスレットをかけ、先生をつれていった。

先生が何をしたのかは分からないけど、規則は守ろうと思う。



〜自由を手に入れたと誇る人は、他人を侵害してきたことを誇っているのと同じだ〜

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