好きになってはいけないのか?

ハナミ

第1話とりあえず好きです!!

いつものように、拘りの入浴剤を持ってお風呂に行く

世界一お風呂が好きな俺。

アロマなんかで癒されている

コンタクトを外す

純日本人の両親から産まれたはずなのに、俺はオッドアイ。右目が深紅、左目が翡翠

って母は言ってくれる。

痩せた体で。

父の記憶はない。

母が不貞をしたと思いこみ、僕らを捨てた。

慰謝料請求までして。

そんな、俺たちを救ってくれたのはばーちゃんの家。

温かい言葉。

ご飯。

母は精神を病んでる。

もう何十年も。

俺が産まれた事が罪なのか。

ばーちゃんが、大量に薬を飲んで首から血をダラダラ流している、母を見て首を横に振って

「大丈夫、母ちゃんはまたいつもの発作だから、コレを首にかけて誰か助けてと三回唱えてから、このばーちゃん秘蔵の野ばらのアロマオイルを垂らしてお風呂に入りなさい」

よく分からないが、母の容態があまり良くないんだろう?

おれは、澄んだコバルトブルーに絡みつく深紅の留め金が付いたネックレスと、野ばらのアロマオイルを持ってお風呂に浸かる前に、アロマオイルを垂らす。

むせかえるよう様な、バラの香り。

本当に助かるのだろうか?

どうか、俺をたすけてくれて甘やかしてくれる人を下さい

タイカハ?

記憶

タリヌ

愛してくれた人には永遠の愛と命を

ショウチシタ

気が付いたらお風呂の水の底に沈んデイク

どこまで?

分からない速度で落ちていく

そして

ふかふかの御布団?ベッド?

濡鴉のような、闇を写したような長髪で深紅の瞳をした氷のような、男の人に魅入られて。

気が付いたら、目が離せない。

自分の心の臓に指を無意識にいれてブルーの珠を、この美しいすぎる人に渡す。

自然と笑みが溢れる

美しい人は、渡したブルーの珠を返そうとするが。

受け取れない。

一目で好きになった。

命なんて要らない

今ここで貴方の腕の中で眠るように、死んでしまいたい。好きで、好きで、尊くて。

気が付いたら、無意識に動いていた。

美しい人は、俺の心の臓に口付ける。

電気が走る。

俺の心の臓には複雑な模様が。

そして

ブルーの珠を美しい人はゴクッと飲み込む。

「お前名前は.?」

ナマエ?

ナニソレ

ワカラナイ

首を横に振る

美しい人は

じっと俺の瞳と

いつの間にか伸びた髪の色に驚く

茶色だった髪色が

水色に

どう生ってもいい

スんと美しい人の匂いを嗅ぐ

野ばらの匂いが、むせかえるようする

くんくん

首筋を臭う。

愛しい君

これしか頭にはない

俺を受け入れないなら殺して欲しい

濡鴉の髪を掴んで、溢れる涙を止める術もしらないで

ただ、ただ、

抱きつく

性別なんかしらない

ただただ

貴方の瞳にこの命散る瞬間には

記憶に残るくらいには

傍にいたい

「無いよ、ここに来る時に全部捨てたんだよ。覚えてるのは、俺を甘やかしてくれて、愛してくれる人をお願いしたんだ」

貴方がいいとは、言えなかった

この美しい人の瞳に映っただけで

もう未練はない

「ギフトか。永らく待った。私のギフト、湖を思い起こされる様な瞳に、深紅の瞳のと、翡翠の瞳は夜を照らす月の金色に変わった」

ギフト?

瞳の色?

気持ち悪くないのかな?

そう思ったら、涙がボロボロと。

「名前おしえて下さい」

ドキドキしながら、どうか神様お願いします

名前を教えてくれます様に。

「羅刹だ」

ラセツ?

俺は名前がない

名前付けてくれないかな?

「名前つけてくれませんか?」

声が甘くて、耳に心地好くてドキドキが泊まらない

「ユキだ

その白い肌

すぐに真っ赤になったり、青くなったり、城に遊びにくるうさぎみたいだ」

うさぎ?

そんなに可愛くないけど嬉しい。

絶対に奴隷でもいいから、傍にいたい

「俺を傍に置いて下さい。

無理なら羅刹さんの手で殺して下さい

貴方のいないセカイに生きる意味はない」

羅刹さんは嬉しいそうに笑うと、ピンクの液体の入ったグラスに、自分の指先を傷つけて

鮮血がポタポタ落ちる

次に俺の指先を鋭利な爪先で傷つけると、ピンクの液体のグラスの中身は、深紅に変わり

羅刹さんの柔らかく力強い口付けで唇が開き、ゴクリと甘い液体を呑み込む。唇の端に付いた液体をいやらしく舐めとる。

ドキドキが止まらない。

「ユキはしてくれないのか?」

美しい人

震える指先で、グラスの中身を口に入れると羅刹さんに抱き寄せられて口含んだ液体が舌の動きとよく分からない方法で移動する。

体が熱い。

燃えるように

羅刹が俺の体に何か模様を描いているのは、何となく分かる。

熱い

熱い

こんなの初めてでどうしたら

羅刹助けて

愛している

「羅刹体が熱い

助けて、熱いよ

俺の体どうなっているの?」

「バンパイアになっているんだ。

可愛いユキ

おれの花嫁になる為に体が変化しているんだよ」

花嫁?

えー

好きだけど好きだけど

分からない

一緒にいたいっ

「花嫁になったら、ずっと一緒?

もし羅刹が先に死にそうになったら俺を殺して

羅刹がいない世界ではいきられない

愛してくれる

僕の命にかけて」

病んでる自覚はある

でも

羅刹しか要らない

羅刹

羅刹

「ユキ今日は寝なさい。

願いは叶える。俺の大切な花嫁」

羅刹は突然寝所に落ちてきたユキを見た時に、自分の物だと。

雪のような肌も、チェリーのような乳首も

まだ淡い陰毛中に隠れているモノも

ギフトの証であるオッドアイ

首飾り

神との契約の証の心の臓の珠の色

ここは

魔族の国

魔族の国の頂点である、自分の伴侶の

美しいオッドアイが、私の番である金色に染まった瞬間、抱きそうになったが

ぐっと堪えた

自分だけの伴侶にしか反応しない体

ずっと待っていユキ

自分だけを見てくれる

愛してくれる

命を懸けて

「柘榴」

呼ぶだけで姿を表す巨大な狼型の人型にもなれる柘榴

「俺の伴侶を守れ、命をかけて」

柘榴は獣の姿のまま頷くと、ユキが寝ているベッドの下に寝そべる。

眷属もユキを中心にして一瞬にして陣をひく柘榴。

柘榴は静かに瞳を瞑り、私は雪のイメージに合わせて淡いブルーと金の刺繍の入った寝巻きを作り着せて、深く眠るユキに口付ける。

ユキには言わなかったが、ユキが私以外を愛せば2人とも即死。

逆も然り。

永遠に愛すると言ったのは、ユキだ。

ユキには深紅のピアスを。

私には金色の。

私の大好きな薔薇の形の。

人界に隠されていた、花嫁。

永遠に離さない。

命も繋がっている。

いかなる場合でも、2人とも同時に天寿を迎える。

愛している


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