第32話 クロワッサン家に遊びにくる
「ヤッホー颯流! お邪魔するよ〜ん」
「おお、凄え綺麗になったなお前の家」
「いらっしゃい2人とも。月愛が綺麗好きだから片付いてるんだよ」
テストが終わったのでクロワッサンと遊ぶ約束で家に上がってもらった。
ついでに小山も来たのはついでのようなものだろう。
以前までは結構俺の家に上がってたクロワッサンだからあまりの綺麗さに驚いた。
「何だか生まれ変わったかのような環境だな」
「うるせえよクロワッサン、前のはそこまで酷くなかったろ?」
「下着を平気で床に寝かせてた人が何か言った〜?」
「ついでにキッチンテーブルには色んなものが置いてて半分使えない状態だったもんなあ」
「うるせえよ」
そう揶揄われながらも2人を居間まで案内すると早速スイッチーズで3人で対戦ゲームやらレーシングゲームなどを遊んで行った。
月愛はクラスの友達と出かけているから帰って来るのは夕飯前らしい。
「それで颯流よ、改めておめでたう。木下さんとデートの約束が出来て良かったな」
「本当それよ! 全く、あんた達の教室でのやり取りは最高だったんだから〜」
「……あ、ああ。そうだな、ありがとう!」
「それで颯流よ、木下さんとどこに行くかとかはもう考えてるのか?」
「そうだな……候補はいくらかあるんだけど、まだ検討中なんだよな」
映画、水族館、買い物でデパートを歩き回る、遊園地とか色々考えてるのだ。
しかし好きな人とのデートなんて人生で初めてだからよく分からない。
どんな風にエスコートすれば良いのか、どんなデートプランを立てれば良いのか。
「だったらここは恋愛マスターの俺が知恵を授けてやろう」
「私も優希視点に立ってみるから、とりあえず颯流が考えてるのを言ってみなよ」
「そうだな……分かった。第1候補は朝に映画館デートをしてから昼に2人でご飯を食べに行くプランだ。映画を見てるとお互いに無理に喋る必要はないし、昼飯を食べてる最中に映画を話題にできるから有効なんじゃないかと思ってるけど……どうだ?」
「へ〜デートプランにしては悪くないな。颯流が事前に映画のチケットを予約しているとなお良いぞ」
「それね! 特に初めてのデートとなると緊張するからそれ良いと思うよ! 映画の内容を恋愛ものにしたら更に良いよ、2人の雰囲気を盛り上げられるからね」
「なるほど……参考にするよ」
計算と演出でなるべく木下さんを楽しませられるようにするために必要な工程だ。
ただ予定がいつになるかは分からないから映画は最近流行ってるものにしようか……それと2人分の席で端っこの方を予約しておいた方がよさそうだ。
「そして昼から買い物でショッピングモール内を歩き回るイメージかな」
「お熱いね〜それだけ木下さんと一緒に居たいわけか。ヒューヒュー!」
「う、うっせえな……好きなんだから当たり前だろ」
「それも良いけど、優希が初めてやってきたときに良く靴を確認しときなよ。そういうのが好きなタイプじゃないはずだけど、ヒール履いて来たらすぐ疲れるからさ」
「なるほどな……つまり臨機応変に対応する必要があるわけか」
いやバックアップの作戦はいくらあっても足りない事はないだろう。
「それからデートが終わるときにまた今度水族館に行かないか? と誘うつもりなんだが、それに関しても何かアドバイスとかあるか2人とも?」
「おお〜颯流めっちゃ積極的だな! 女の子はそういう男を好むぞ!」
「うんうん、良いねそれ!! 切り出すときはデートで別れる直前を心掛けて。理想的なのは2人が楽しい雰囲気にいるときにスパッとデートを切って、誠実な目付きで次のデートの約束をする事だから。途中で噛んじゃダメだぞ〜?」
「ああ、分かった。それまで練習しておくよ。ありがとう」
それからあと1時間だけゲームに没頭したら本日はもうお開きとなった。
親父の再婚相手が俺の幼馴染だった 知足湧生 @tomotari0919
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