40話・仕組まれた舞台
「……やはり、そうなのですね」
メラリアの態度から、フィーリアは今の仮説が真実であると悟った。もしローガンが怪我を負い、ブリムンド王国の手によるものだと思われれば最悪戦争が起きる。そうと分かった上で、メラリアは手を下していたのだ。
「だったら何だというの。あたくしを罰するつもり?このあたくしを?」
「……残念です大叔母様。此度の決闘は、
驚いて目を見開くメラリアの視界に貴賓席へとなだれこむ警備兵たちの姿が映った。侍女たちは捕まり、メラリア自身も取り囲まれてしまう。
「無礼な!あたくしを誰だと──」
「大叔母様はもう大公妃ではありません」
「なんですって!?」
フィーリアの言葉を合図に、一人の青年貴族が貴賓席へとやってきた。
「フィーリア嬢。先ほど届いたばかりの書状だ。既にブリムンド国王とアイデルベルド国王は内容を確認済みだよ」
「ありがとうございます、アラン様」
フィーリアに書類を手渡したのはアステラ王国外務大臣のアラン・ヴィクランド。そして、彼の後ろの通路には純白の法衣に身を包んだ青年が立っている。長く白い髪を揺らしながら貴賓席へと足を踏み入れたのは、ハイデルベルド教国の大司教ルノー・カイネンベルグ。近隣諸国の聖職者の中でも最高位に位置する彼は、大公妃メラリアの前に出て軽く手を掲げてこう宣言した。
「モント公国の大公からの申し出により、婚姻は正式に破棄されました。あなたの後ろ盾はもうありませんよ」
あまりのことに、メラリアは言葉を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます