第4話 Thank you!

朝を迎えた。

俺はお腹を好かせ、キッチンに行った。

するとそこには、倒れている編集者が居た。


「せ、先生......」

「誰にやられた! 言え!」


ぷるぷると震えてる手が俺の顔の前までやってきた。

そして、こう言われた。


「お水、ください」

「は? 水?」


俺はコップなみなみの水を編集者に渡した。

風呂上がりに飲む牛乳のように、手を腰にあて、一気飲みをし始めた。


「いやー、ありがとうございます。助かりました。夢中になってたら、水飲むの忘れちゃって」


ヘラヘラと笑ってる編集者を見て、一気に安心した。


「集中するのはいいが、水は飲め!」

「まあ、その辺にしといてくださいよ。ついに完成したんですから」


そう言って、お肉たっぷりでヘルシーなどんぶりが俺の目の前に出された。


「名付けて。Thank you! ヘルシー旨辛丼です」

「俺、辛いの苦手なんだけど」


そう文句を言いながら、一口口に運んだ。


「美味い。ピリッと辛いが肉と野菜がたっぷり使われてて、歯ごたえも腹持ちも良さそうだ」

「えへへ。私はやればできる女ですからね」


えっへんと言いたそうな顔をしていた。


「Thank you!って別にいらなくねーか?」


疑問に思ったことを聞いてみた。


「それは日頃の感謝です! 一応、感謝してるんですよ」


俺は思わず、涙腺が緩んだ。


「よし、今から開店するぞ!」


最初は売れなかったが、徐々に売れ始め、客が客を呼んできた。


そして今日も。


俺たちは感謝する。


「いらっしゃいませー」

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運命の本に出逢ったので、料理人始めます! 蓬莱蒼璃 @SouriHourai

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