幻想的な設定と、時間軸をカクテルにして、船内という舞台でミステリーとして進められる、とても面白い作品でした。
現実世界では考えられない不思議な船、そこに集められた異形の搭乗者。
物語が進むにつれ徐々に明らかにされてゆくそれぞれの過去と想いが交錯して行く。
それぞれの登場人物が罪や無念、暗い過去を持ち寄り紡ぎあげ、ひとつのストーリーに織り込まれるその流れがとても滑らかで、なかなか読み進める手を止められません。
これは、罪と贖いの物語り。
読み終わった後は、作中に張られた綾が全て解けたような爽快感がありました。
とても楽しめる作品だと思いますので、オススメです。
死者が集められたノアの箱舟。
乗客たちは人間の姿を捨て、ファンタジー世界の登場人物として蘇ったものたち。
そして、それぞれの乗客の告白から、彼らが集められた理由が少しずつ明らかになっていく。
オリジナリティあふれる舞台設定、魅力的なキャラクター、隠されたストーリー、そして、感動的なクライマックス。
ここまで完璧な物語を読んだのは久しぶりです。カクヨムにはまだまだ自分の知らない素晴らしい作品があるのだと、あらためて思いました。
一気読み必至の傑作です。本作が出版されたら、ミステリーランキングのトップに躍り出ても不思議ではありません。
本当に素晴らしい作品でした。