次の朝には……?

 朝です。仕立屋の扉をたたく少年が居ます。さらりと長い黒髪に、まっすぐでまるい銀の目をした、銀雀の少年です。

「父さん、ただいま。やっと休暇が貰えたんだ。今日はいろいろ手伝うよ……」

 色とりどりの布が部屋のあちこちに散らばっています。その真ん中で仕立屋は永遠花の布を握り締めて倒れこんでいました。

「父さん! なにがあったの?」

 息子に揺り起こされた仕立屋は、荒れた部屋に軽く悲鳴を上げてしまいましたが、久々に見た息子の姿に顔をほころばせます。

「おかえり。お前の母さんの夢を見てたんだ。ちょっと散らかしてしまったね」

「どういうこと?」

「詳しい話はゆっくりするよ。話したいことが、たくさん、たくさんあるから」

 家の外ではまた、すずなり林檎が機嫌よく、風に揺れて鳴っていました。

             お わ り


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銀雀の仕立屋さん 嵯峨野吉家 @toybox3104

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