モブ村人俺、魔王と勇者を従え黒幕になる ~【究極属性付与】スキルで助けてあげたら彼女達は俺に夢中です。なので二人が戦わなくて済むよう八百長する事にした~
第4-1話 脳筋四天王ゴーリキ勝手に立つ(意味深)
第4章 俺だけが知っている最初の四天王
第4-1話 脳筋四天王ゴーリキ勝手に立つ(意味深)
ぽぽん!
「にゃ、にゃにっ!? ゴーリキのヤツが動いたにゃん!?
確かな情報なのかにゃん!」
壁のシミ状態から復活したポンニャが伝令のハーピィ少女を問い詰める。
「はっ、はい!」
「フェルーゼ様の命により、ゴーリキ様の居城を監視しているハーピィ76382号からの急報です」
「……本当みたいだね」
ゆらり……怒りのオーラを漂わせながら、ソファーから立ち上がるフェル。
件のハーピィは四天王の一人であるマッディに石化させられた後、フェルの手によって蘇生された個体である。
フェルは上位モンスターに虐げられがちな女性型モンスターを保護していることもあり、彼女たちの忠誠心は固い。
「いざとなれば余が直接出向いても良い……新たな動きがあり次第報告するように」
「御意っ!!」
スイーツをパクついていた時のふにゃっとした笑顔から、一瞬で魔王としての威厳を纏ったフェル。
やはり彼女は魔王である……あらためて実感する俺なのだった。
*** ***
「ぐわっはっはっは!! 城に籠りっぱなしなど、吾輩の性に合わないのである!!」
ぶおん!
身長10メートルを超える赤銅のゴーリキは、巨大な棍棒を振り回す。
ドガアッ!!
棍棒の先端から放たれた闘気により、居城の外側に配置された砦が1つ吹き飛んだ。
「ゴ、ゴーリキ様! 城内で得物を振り回すなど!
危のうございます!」
あそこには50匹近いゴブリン族が詰めていたはずだが……ゴーリキの副官であるシニアオーガーは、痛む胃を押さえながら進言する。
「うるさいのである!!
ゴブリンなど、魔界畑に植えておけば勝手に生えて来るわ!!」
ゴブリン共はどうでもいいのだが、魔王様から倹約令が出ているのにぶっ壊された砦の補修申請を提出するのは私なんですが……。
そう言いたくとも口に出せないシニアオーガー。
ゴーリキの実力はオーガー族の中でも圧倒的だが、脳筋ぶりも圧倒的である。
胃痛の種には事欠かないシニアオーガーであった。
「ぐふふ……まずは手近なゲール王国を攻め滅ぼすのである!!」
「たしかゲールは女王を中心とした女冒険者の国……捕らえてオーガースティックの慰みとしてくれるわ!!」
「当代魔王のお陰で女の攻撃が効かない吾輩にはうってつけの相手と言えるな、ぬはははははっ!」
1メートルを超えるオーガー棒(みたまんま)をいきり立たせると、左右に振り回すゴーリキ。
べちょっ!
異臭のする体液をぶっかけられるシニアオーガー。
来期は絶対異動願を出そう……そう心に決めたシニアオーガーは気を取り直し、健気にも己の職責に忠実であろうとする。
「お、お待ちくださいゴーリキ様!
先月フェルーゼ様から賜った通達をお忘れですか!!」
「んん? そんな連絡があったであるか?」
棍棒を抱えたまま、器用に腕を組むゴーリキ。
「居城の魔界電飾は1日1時間まで、というセコイ節約指令と……」
「女型モンスターを慰み者にすることを禁止するというお堅い通達……まったく魔王様は潔癖であるな!」
「そこで吾輩は我が忠実なるオーガー/ゴブリン族の福利厚生のため、ゲール王国を攻める……まことに良い上司であるな!!」
それはタダの事務連絡で、大事なのはその前の通達だああああっ!
ていうかあんたさきっきその忠実な部下を50匹ほど吹き飛ばしただろ!
『人間どもは過去に例を見ないほど勇者戦力を整えつつあり。 有力な魔界資材の調達先を確保した故、物資の集積が完了するまで積極攻勢を禁ずる』
『なお、この命令は魔王フェルーゼの名に於ける特一級優先命令であり、命令違反があった場合……分かっておるな?』
同時に2つの事しか覚えられないこのバカ上司は、魔王様からの優先命令を忘れている!
真の力を解放し、恐怖政治を敷いている魔王様の怒りに触れれば私など一瞬で消し炭である。
変わり果てた姿となり、魔王様の忠実な操り人形と化したグランサキュバスのポンニャ様……種族ごと粛正されたと言われるパーピィ族など、魔王様の”残酷な粛正”は枚挙にいとまがない。
(※ランジットの【認識改変】により、彼らにはこう見えている)
「ゆくぞ勇士たち!! ゲール王国を攻め滅ぼし、捕らえた女どもを(ピー)で(ピー)して(ピー)するのである!!」
うおおおおおおおおおおっ!
脳筋どもの雄叫びがゴーリキの居城を大きく揺るがす。
「お、お待ちください! せめて魔王様へご裁可を……」
バキッ!
乱暴に振り回されたゴーリキの棍棒に吹き飛ばされながら、来世は無害なスライムあたりに生まれ変わりたいと願うシニアオーガーなのだった。
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