第3話 暖かい家族

「遅かったなデクス まだ体調が優れんか?」

(「デクス様あのお方がドルフ様です」)

ティルシアが小声で教えてくれた

「おはようございます父上 すみません高熱のせいか記憶がなくなっていて

ティルシアにいろいろ教えてもらっていたのです」

「おぉそうか すべて忘れてしまったのか?」

「はい 自分の名前も忘れていました」


「では、遅れてしまうのも仕方ないな 体調はどうだ?」

「体調は問題ありません」

「そうかそれはよかった デクスの席はそこだ」


僕は言われた椅子に座った 扉側の端だ

ティルシアは僕の後ろに立っている 専属メイドだからだろう

食卓は異世界貴族 転生系の物語でよく見る感じの長めの机だ

正面には母と思われる女性が座っている

その隣は父ドルフが座っているが少々遠い 貴族ならこんなものなのだろう


隣であり真ん中の席は多分次男のルーノだろうか

位置的にここに長男ではない気もするが一応あり得るな

どっちだろう

「僕のことも忘れているんだよね?」

「すみません 思い出せないです」

「僕は兄のルーノだよ ルーノお兄ちゃんって呼んでね」

「あぁ、ルーノ兄さんでしたか」

「はぁやっぱり呼んでくれないんだね」

やはりルーノだった

というか僕は以前から兄さんと呼んでたんだな


だとすると反対側がリックか

なんかプライドが高そうだな おまけにバカそう


「ではいただくとしようか」

「「いただきます」」

父上が合図をし皆で合唱した




おいしかった 前世で食べたことがないような料理だった


「そうだデクス」

「はい、なんですか父上」

「この前図書室の本が読みたいと言っていたそうだが好きにしていいぞ

それと読めない字があったらティルシアに聞きなさい

ティルシアはメイドの中で唯一字が読めるからな」

「ありがとうございます」

そういうことならこの後図書室でこの世界についての情報収集をしよう

この世界の識字率はやはり低めなのだろう

この世界の字がどんな字かわからないし一応ティルシアもつれていこう


それにしても家族っていいものだったんだな

前世ではこんな家族との時間は過ごせなかったからわからなかった

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