第2話:日常 改


月曜日。それは憂鬱な一週間の始まりだ。人は嘆き、地団駄を踏みたくなるぐらい忌避したい嫌いな曜日。


そして、学校があるせいで憂鬱なのに、妹成分が不足していた為気力が消失している俺は、状態でため息を吐いた。


「……人はなんで生きてるんですかね」

「…悟りを開いてんのか?」


意気消沈な俺が呟いた俺の言葉は、呆れ口調な言葉と共に返えってきた。


「それよりもだ、お前なんでここに来たか忘れたのか?」


そう言って、目線を鋭くする。

薄い茶色のボブヘアーに眼鏡をかけた美少女のような愛くるしい見た目とは裏腹に、キツい性格として有名な人…もとい、社会科の教師強者山城陽香やましろようか


俺は絶対絶命だった。処刑人のような眼力に、1を反論したら10で自分に返ってくる、そんな先生とは呼べない怖い存在と見下ろす形(椅子に座っている状態)ではあるが、それでもあの目とオーラで冷や汗ダラダラ。


来た理由を問われ、その言葉をひたすら反芻し続けるも、ただ反射されて返えってくるだけ。


なんで……なんで来たんだっけ?


「……ほう?まさか忘れた…と?」

「あ、違う…いえ、違います!覚えてます覚えてます!」


っぶねぇ〜…怖すぎだろ。ちょっとタメ口が出そうになったからって人を殺せる視線を向けないでくれよ。心臓縮んだぞ!


「じゃあ、答えろ。応えれる…よ・な?」


おっと、二重の意味のこたえろ…。俺の死刑決まった感じですか。そうですか。


………………

…………

………


「ごめんなさぁぁい!!」


その日、放課後の職員室に盛大な謝罪の声と綺麗な土下座が響いた。





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「はぁ、いってぇ…土下座やったせいでデコにコブできたわ……」


額を擦りながら涙目で訴える俺は、数十分にも及ぶ死の裁判が終わって安堵していた。

呼ばれた理由に関しては授業を真面目に受けていなかったから……と冷たい視線と共に言われたぜ。


そして、何を思ったのか「お前他の子らより倍にした課題、明日までに終わらせろよ」とほんとに何を思ったのかそんな事を言い出した。


「やめくださいお願いします陽香様」と泣きついたら「更に倍にするからな!」と顔を真っ赤に染めて怒られ、更に死んでいく俺の目はそろそろ腐るかもしれない。


ふっ、罪な男だぜ俺は。


「……」


だから俺をそんな糞を見るような目で見ないでくれ。


「はぁ…とことんアホだわ」

「知ってる?それが俺なんだよ」

「あー、はいはい。んで、どうすんの?手伝ってやろうか?」


そう言って提案してくれた隣に居る神のような奴。少し赤い橙色の短い髪に、少し着崩した制服が良く似合うヤンキーっぽい見た目。


それが俺の親友にして数少ない友人の一人…木場康二きばこうじ


「本当に有難い。さすが優等生」

「俺より成績良い奴に言われてもなぁ…」


そう言うが、君も一桁台なの忘れてる?つーか、そんな見た目してんのに一桁台とかヤンキー漫画崩しって陰で言われてるの知ってる?


「じゃあ、このまま家に来てくれ。ゆなも喜ぶだろうし」


そう言うと、木場は「そうだな!久々に行くわ!」と弾んだ声で承諾した。




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「ただいまー」

「お邪魔します」


俺と木場は階段を上がる前にリビングに寄り、居るであろう住人に声をかけようとした。のだが……。


「あれ?ゆな居ないのか」


リビングには人っ子一人居なかった。両親は共働きで基本的に家には居ない。朝になればいるが、昼頃から夜にかけて家を空けているため、家のことは俺とゆなで役割分担しているのだ。


そして、テーブルに目を向けると1枚の紙切れ置いてあるのに気付き、ソレを手に取った。


『拝啓、シスコンお兄ちゃんへ。学校はどうでした?どうせ、シスコンお兄ちゃんの事だから意気消沈になって授業を真面目に受けなかったから先生に怒られて、遅くなってるであろう。そんなシスコンお兄ちゃんの為に私は買い物行ってきます。喜べ。

by:私』









…………。


「…相変わらずすげぇな…(いやシスコンて…)」

「さすが我が妹だよ」


いや、そうじゃない。と木場は思ったが何時もの出来事な為、そこにツッコみを入れず「とりあえずやろうか」と提案する。


「そうだな…やるか。先二階行っといて」


短く答えた木場はそのまま二階に行き、俺は飲みもんやら食いもんやらを持ってそのまま部屋へと向かった。




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「ただいまー!お兄ちゃ〜ん、お客さんいるのー?」


課題という名の地獄を味わっていた俺はまるで獲物を取るかの如く鋭い動きで素早く自室から抜け出す。「はや!?」と驚く木場の声は届かない。


そして、一瞬にして玄関にいる妹の元に駆けた俺はゆなの両手にある荷物を奪うようにしてリビングに入って行った。


「お兄ちゃん!?」


驚きの声を上げる妹を無視し、課題から逃れる為に袋から物を取り出して片付けし始めた。


「……お兄ちゃん…」

「…ゆなちゃん。大変だな」

「まぁ…そだね」


二人してまるで俺が手のかかる奴みたいに……酷い奴らだな。


「はぁ……全くもう」


溜息を吐いて言ってるが、その実、顔は嬉しそうでありやっぱお前ら似た者同士だよな…と蒼真の隣で一緒に片付けを始めた二人を見て微笑みが零れた。


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