第13話

「店に迷惑をかけるつもりはない。外に出たまえ、スライムマスター君」

「嫌です。初めて会った人と戦う理由はありません」

 アルトはミキにそう言うと、お会計を済ませて宿に戻ろうとした。

 ミキは、すれ違いざまにアルトの肩を掴み言った。


「モンスターと人間は共存できないことくらい、理解したらどうだ?」

「アルトナラ、デキル」

 鞄からすらみが顔を出し、抗議した。

「おや、可愛いスライムだね」

 ミキは右手を伸ばして、すらみを捕まえると握りつぶそうとした。

「イタイ!」


「止めてください、ミキさん!」

「おっと、モンスターは小さいうちに倒さないと、後が怖いからね」

 ミキは右手に握ったすらみに、更に力を加えた。

「すらみ、強化!」

「!?」

 ミキは手に力を入れたが、すらみが潰れることはなく、逆にミキの手が痛んだ。


「やるね、スライムマスター君」

「ミキさん、すらみに謝ってください。それに僕の名前はスライムマスターではなくアルトです」

 アルトはミキを睨み付けた。

「怖い顔するね、アルト君」

 ミキはニヤリと笑い、アルトにすらみを投げつけた。


「コワカッタ、アルト」

「大丈夫かい? すらみ」

 ミキは両手にダガーを持った。

「ちょっと、お店から出てって頂戴!!」

「……ということだ。外で戦おう、アルトくん」


 アルトは言った。

「……ミキさん、何故そんなに戦いたいんだ?」

「モンスターは所詮、モンスターだからさ」

 ミキはアルトの後について、店を出ると町から外に出た。

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