4.リリィとの約束
翌朝、目を覚ましたアルトはすぐに昨日オートマジックを発動してから寝たことを思い出す。
目をこすり、ステータスを確認する。
魔法回路 1
自動魔法 Lv1(1504/10,000) ←up
結界魔法 Lv1(0/10,000)
火炎魔法 Lv1(3/10,000)
水氷魔法 Lv1(0/10,000)
神聖魔法 Lv1(0/10,000)
暗黒魔法 Lv1(0/10,000)
物理魔法 Lv1(0/10,000)
強化魔法 Lv1(1501/10,000) ←up
鑑定魔法 Lv1(0/10,000)
「お! 経験値がたまってる!!」
テキストでは5000回繰り返すように指定したが、どうやら実行したのは1,500弱のようだ。
その理由は、オートマジックのウィンドウを開くとわかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<テキスト1>
For 1000
マジックバフ
next
※魔力切れのため、魔力が回復するまで発動を中断しています。
処理を中止する場合は、中止を宣言してください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
どうやら途中で魔力切れになった場合は、魔力の回復を待ってくれるようである。
「でも、これで寝ながらでも修行できることがわかったな」
アルトにとってそれは大きな前進だった。
魔力切れの問題はあれど、寝ながらでも仕事をしながらでも修行ができることがわかったのだから。
これでレベルアップに必要な莫大な経験値をなんとか稼ぐことができそうだ。
「これで人並とはいかないけど、なんとかスキルを使えるようになりそうだ……!!」
魔法適性がないとわかった時は本気で絶望したが、今は生きていく希望が生まれた。
「っていうか、オートマジックのスキルそれ自体の経験値もたまってるみたいだけど、レベルアップしたらさらに機能が増えたりするのかな」
今でも十分強い力だが、さらにすごいことができるようになるとなれば楽しみだ。
†
――オートマジックの力に目覚めたアルトだが、しかしいきなり強い冒険者になれるわけではない。
自動で経験値がたまるとはいえ、レベルアップに他人より莫大な量が必要なのだ。
数日の間「修行」を続けたアルトだったが、世間的には相変わらず<ノースキル>のままだった。
「……おら、ノースキル! もっと一生懸命働けよ!」
倉庫で荷物運びをするアルトに、ギルドの隊長は吐き捨てるようにそう言った。
「はい!」
職場の雰囲気は決して良くはない。
特に周囲の<ノースキル>であるアルトへの風当たりは強かった。
だが、今は耐える時だと思っていた。
働いている間もどんどん強くなっているという充実感があったので、何とか仕事をこなすことができた。
†
一日の仕事を終え、宿に戻ってくるアルト。
――と。
「……アルト! やっと見つけた!」
宿の前にいたのは、幼馴染のリリィだった。
<ノースキル>の烙印を押されたアルトと違い、全ての魔法適性が最高水準と判断されたリリィ。
もはや貴族の息子でさえないアルトからすれば、遠い存在である。
「家を追い出されたって聞いたから……」
リリィはアルトのことを本気で心配していた。
しかし、アルトは笑みを浮かべる。
「リリィ。俺、なんとか強くなれそうだ」
そう言うと、リリィはアルトをまじまじと見つめた。
アルトはユニークスキル“オートマジック”に目覚めたことを説明した。
説明を聞いたリリィはようやく笑みを浮かべる。
「……すごい! これなら強くなれる!」
「ああ。多分時間はかかるけど、冒険者にもなれると思う……きっと騎士にだってなれる」
王国で最高の戦士。
それが<騎士>だ。
それはアルトとリリィが目指していた夢の職業。
「あのねアルト。私、王立騎士学校に行くことになった」
「ああ。そうだろうな……」
王立騎士学校は、騎士を育成するための機関だ。
そこを卒業すれば騎士になれる。
高い魔法適性を持つリリィなら入学の許可が下りるのも当然だった。
「……リリィ。待っててくれ。俺も追いつくから」
現状はノースキルのアルト。
けれど、時間をかければきっとリリィに追いつける。
今はそう思っていた。
「うん。待ってる」
リリィも確かにそう頷いたのだった。
†
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