西村賢太さんと僕

羽弦トリス

第1話西村賢太さんと僕

昨日、友人からLINEが送られてきた。

「西村賢太急死」

僕はスマホで検索した。間違いなく西村賢太さんは亡くなっていた。

僕は彼が芥川賞を受賞したとき、初めて西村賢太の存在を知った。「苦役列車」でデビューしたのだが、「暗渠の宿」など、過去の作品を読んだ。

彼の作品には、怠惰、性欲、狂気に満ちており、なおかつ彼自身が二度も傷害で逮捕されながらも、文章は光を放っていた。

私小説は僕には書けない。

平々凡々と生活して、精神を病んだものに万人受けする作品は書けないのである。


彼は生前、酒をよく飲んでいた。宝焼酎を。

彼が酒を飲んで1口目に、

「やはり、落ち着きますな!」と、いう言葉は僕の口癖にもなっている。

作品以上に西村賢太さん本人が好きだった。

放送事故もあったり、風俗発言、テレビ収録中に喫煙、飲酒。

とにかく、破天荒であった。

いつかは、西村賢太さんみたいな私小説を書こうと思って、なろう、カクヨムに7年間在籍しているが、モノになってない。

ペンクラブでは、僕の作品は袋叩きにあった。


このままいけば、夏にはコロナは収まるだろうから、ペンクラブでおもいっきり飲んでやろうと思う。

仕事こそ違うが、西村賢太さんと似ているような所もある。

酒や歪んだ思考などである。

だが、彼は芥川賞作家でありボクは素人なのだから、考えが似ていても作品には雲泥の差がある。


そうだ、今日は日曜日。弔酒でも飲んでやろう。もちろん、西村賢太作品を読みながら。

あなたが亡くなっても、小説は残ります。

それは、永遠に。


合掌


令和四年二月六日

羽弦トリス

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西村賢太さんと僕 羽弦トリス @September-0919

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