素のレディの罪悪感と観察眼
「───ただいま戻りました」
「また外出か。毎日でないだけ良しとするか。また男と会っているわけではあるまいな? 」
「いえ。本日も前回も女性の方ですわ、お父様」
「ならよい。来月からはそれもできないと思え。王太子の出る舞踏会は必ず出ろ。わかったなら、さっさと部屋に戻れ」
深深とお辞儀をし、レディイザベラは無表情で自室へと向かった。
「もう時間がない。どうか、どうかカナリアさま、気がついて……」
どこで父親の監視と出会うかわからない。
「頭がおかしくなった娘では誰もお父様に報告しない。警察や探偵は口が堅い、故に由緒正しい家の娘の悪評を広めるわけがないってことね」
ロバートさま、ごめんなさい。
まさか、あんなことになるなんて。
わたくしのせいだわ。
わたくしの目の前でお父様の名前は出してはいけなかった……!
カナリアさまは合わせてくれた。
お父様はロバートさまとカナリアさまの関係をご存知ないようだわ。
男装の麗人で性格もそれとは更に異なる変わり者と噂されるだけあった。
女性に有るまじきショートヘアが窓から入る陽の光に照らされて、月の光のように美しかった。
ピンクゴールドの宝石を思わせる瞳。
白磁の滑らかな肌。
女性と知ってはいても、どちらにも見えなかった。
芸術品も裸足で逃げ出すほどの美しさだったわ。
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