哀しみのレディ

彼女の話の違和感は、がないこと。

正確にはみたいな話だった。

半分は会えていない複雑な記念日だ。

前提なら、ロバートに頼んだのはいつだ?

しかし、文面からは理由が書かれている。

はずだ。

雰囲気だけで彼女は

どちらとも取れる言い方を

これは厄介事の臭いしかしない。

ロバートは巻き込まれ、姿を消した。

刑事は疑うのが仕事とはいえ、彼がほどの何かがあったはずだ。

現段階では正直、雲を掴むような話である。


彼女を注意深く観察した。

少し幼さはあれど、二十歳前の若い美しい女性。

真っ白ではなく、淡いアイボリーの単色で控えめではあるが、上品にレースが宛てがわれた外出着。

これまたアイボリーのリボン生地の紐付きツバ付き帽子に同色のレースの日傘。

ブロンズ掛かった髪は緩く束ねられ、ラフさも兼ね備えながらも卒無く着こなす品の良いご令嬢であることは間違いない。

少し哀しげで、儚げな可憐な美しき令嬢。

だからこそ、違和感が募る。


あまりにも完璧過ぎると───。

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