2日前

 一瞬の出来事だった。油断していたというほかない。

 ミコがさらわれた。

 ただでさえあいつの顔は目立つ。俺がもっと注意しているべきだったのだ。

 しかし、奴らの目的はなんなのか、まったく見当がつかない。ミコの過去には触れずに来たからだ。ミコの過去になにか重要な鍵があることは間違いない。なにか重大な事件に巻き込まれている気がしてならない。

 ぐだぐだと考えている暇はなかった。追わなければ。走っても追いつけそうにない。

 ふと、視界に黄色いものが映った。タクシーだ。これしかない。

 そのタクシーはまさに人を乗せて発車しようとしているところだった。50代くらいの太ったおっさん。

 ドアをこじ開ける。

「降りろ」

「は!? ちょっと、何なんだアンタ!」

「すぐに降りろ。自分の体が四散するところを見たくなければな」

 小型爆弾をつきつけると、おっさんは大人しくなった。

 おっさんを車外へ蹴り出すと、運転手に向き直って俺は言う。

「前の車を追ってくれ」

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