拘束プレイとサバイバルイベント2

目が覚めた。森だった。


「……あー。開始地点はランダムなのかな」


[そだよー]

[あの人説明いつもないよな]

[がんば]

[何を見せてくれるか]


あの場には沢山人いたし。そのまま開始してたら乱戦待ったナシだもんね。最初はバラされるか。


ここどこだろ。とりあえず泉目指す?んー。


南の泉は大きな泉を森が囲ってる感じの場所で、泉の周りは結構広い範囲で木々が無い。そこなら殲滅戦とかは出来そう。


私は森の中にいた方がいいかな。


たぶんアカは泉の方に行くだろうし。私は森の中の方が戦いやすそう。


さて、やべーやつって思わせた方の勝ちね。


「ホワイト。ちょっとお願いがあるんだけど」


そう言って視聴者には聞こえないよう耳打ちする。


ホワイト。ホワイトスライムの名前である。てきとー?愛があれば問題ない。


「んっと。敵どのくらいいるんだろ」


[さぁ?]

[結構いると思う]

[森だとわかんないよね]


「わかんないね」


ま、とりあえず適当にデバフ巻き散らすか。


「【捕獲】【氷の世界】」


そう呟くと、私の周囲の地面がピキピキと凍り始めた。


【氷の世界】の効果範囲は100メートルにしといた。MPすっからかん。


これで、少なくとも100メートル以内のプレイヤーはSTR、VITは25%AGIは50%その他15%減少かな。


あとは、相対したら【威圧】と【公爵の威厳】ぶつけよ。


そのあと〘氷鎖〙で捕らえたら勝ちだね。


さてさて、コメントはどんな感じかな。


[???]

[範囲バグってね]

[効果は?]

[なぁ、これ白熊が使ってたよな]

[どゆこと?]


ふむふむ。いい感じに困惑してるね。


あとは、誰か攻撃に来てくれたらいいんだけど。


そう思い、〘氷王の長銃〙を手に持ってその場に立ち尽くす。


【不動】が発動するまで待ってよ。


鼻歌を歌いながらしばらく待っていると。


唐突に、キィィィィンという音が耳に響いた。


「ん?攻撃かな?【威圧】【公爵の威厳】」


これでさらに全能力値16%減少。


振り向くと、剣を持って困惑した顔で立っている男の人がいた。


私はその男の人に銃口を向けた。


男の人は当然、避けようとしたけど、もう遅い。


だってその体にはもう、氷鎖が絡みついてるから。


これでSTRとAGI20%減少。さらに全能力値5%減少。


STRは66%、AGIは91%減少してる。この状態で能力値合計60もあるはずない。勝ち確である。


「な、う、うごかねぇ!なんで!」


まぁ、うん。ビックリするよね。分かるよ。


「【氷雪装填】【天回】」


どのくらいのダメージで死ぬかわからなかったので、一応氷雪装填では50のDEX値を込めた。


そして装填された弾丸を回転させる。


未だもがいている名も知らぬ男の人に一言。


「ごめんね。ばいび」


そして私は、十分に回転させた弾丸を打ち出した。


パァァァンッ。


乾いた音とほぼ同時に男の人の頭部にに着弾した弾丸は、男の人の全身を凍てつかせ、更にはその周囲も軽く凍てつかせた。


「ありゃ、ちょっとオーバーキルだったかな」


男の人と氷は光の粒子となって消えた。


もうちょっと込めるDEX少なくしよう。


さてと、コメントは。


[あれ?おかしいな。夢かな]

[目がおかしくなったぞ。誰か救急車を!]

[アカさんの友人だったから、化け物だとは思ってたけど]

[昨日始めた?嘘乙W]

[一撃で倒すとかどんな威力だよ]

[てか、あんなに拘束時間長いことあるか?]

[というか初撃どうやって防いだ?]

[絶対不意を付いたのに防ぐとか、おかしい]

[あぁ、化け物が、化け物が増殖した]


うむ。いいかんじ。


ちな。最初の攻撃防いだのはホワイトね。攻撃に合わせてちっちゃいスライムシールド(なんて呼ぶか分からないから勝手に呼んでる)を貼ってもらった。最初にお願いしてね。


近くでよく見ると分かるだろうけど、映像越しだと何したか分からないはず。


これで原因不明の防御が完成した。さぞかし怖いだろう。


【自動氷壁】は任意でオンオフ出来るので、ホフにしてる。次からはオンにするつもり。


さてと、これからどうしよう。あ、【霰雲】使ってない。


「【霰雲】」


そう言うと、私の周囲に霰が降り始めた。晴れなのに霰降ってる。ふしぎ。


そして、コメントがまた荒れた。


[おい!どれだけ範囲広いスキル持ってんだ!]

[くそ、今度のスキルはどんな効果だ?]

[絶対初心者とか嘘だ!]

[(;°;ω;°;)ガクガクブルブル]


「んー。とりあえず、攻めてくるやつ倒しまくるので、見て、思う存分絶望してください」


そう言ってにこりと笑うと、コメント荒れた。


よし、こっから畳み掛けるぞー。


まずは。


人集めよう。


それから、私を攻撃してきた人の攻撃を【自動氷壁】防ぎ、〘氷鎖〙で捕らえた。


それを暫く繰り返して、私の周りには動けぬプレイヤーが沢山いた。


魔法は拘束されてても放てるらしく。うってきたけど、【魔力凍結】と炎系統は【氷結】のおかげで、ほぼ無力化してる。スライムシールドなくても余裕。


さて、充分集まったかな。


「んじゃ、殲滅で【氷王】」


そう呟くと、私の周囲は唐突に、凍った。


一瞬にして、あたりのプレイヤー全てを凍てつかせ、死亡させた。


後に残るのは。冷徹な氷と光の粒子のみ。断末魔さえ、あげる暇などなかった。


[やっぱあの白熊のスキルだ!倒したのかよ!]

[えっぐ、なんつー威力]

[これ。本当に初心者ならまだ伸びるの?おかしくね]

[うわー。うわー]

[このスキルのためだけに集められたプレイヤー。ドンマイ]


あと、使ってないのは【血鬼操術】【幻惑】【六の魔弾】か。


んー。あんまり手の内見せるのもなー。


よし。今日は使わないでおこう。


そう決めて、殲滅を再開した。


それから、しばらく倒し続けると、コメントも少し落ち着いたのか、色々なのがまじり出した。


[スキル他にはないの?]

[よく、ばいびっていうよね]

[ばいびってなに?]

[ばいびかわいい]


そういえば説明してなかったな。


「ばいびってのはー。なんだろ?どこから持ってきた言葉なのか、私自身知らないですけど。ばいばい、さよなら、しーゆー、アリーヴェデルチ。なんでもいいですけどそんな感じの意味です」


[なるほど]

[聞いたことない]

[造語?]

[かわいい]


よく分からない言葉結構使うんだよね。無意識に使ってるからあんまり覚えてないけど。


どっかのアニメ?んー。わかんないなぁ。


っと。そんなことを考えてるとまたひとり、氷鎖で捕らえた。


思わず口角が上がった。


すると


[なんかな……]

[えr]

[ちょっと、捕まえた時の笑顔が、なんか]

[拘束するの好きなの?]

[縛られたい]

[捕まえた時の表情エロイ]


「は?」


ちょっとまって。ん?


いや、確かに捕まえた時笑うけど。えろい?え?なんで?


「気のせいじゃない?気のせいだよ。えろくないよ」


[鏡もってこい!至急!]

[自覚してないの?]

[なるほど、真性のSか]

[すきです。いじめてください]

[無自覚Sッ子]


私は無言でコメントから視線を外した。 現実逃避とも言える。


「よ。よーし。たおすぞぉー。いっぱい、たおすぞー」


気のせいだよ。ほんと気のせいだよ。えろくないよ。エスジャナイヨ。


そう自分に言い聞かせながらプレイヤーを殲滅した。


そしてイベントが終了する間際。


アカと出会ってアカから一言。


「拘束プレイ好きなの?」


あの、その。


「拘束プレイは別に、好きではないんです。ほんとうですよ?」


涙目だった。


イベントのランキング、5位だった。賞品はスキル獲得権。


あと、勝負勝ったよ。なんでも、私が拘束好きのヤベー奴認定されてさ。勝ったよ。


なんだろう。うれしいよ。でもさ。


逆に色々失った気がするよ。


ぐすん。














  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る