第2話 更なる悲劇 ~人工ウイルス、流出編~

ああ、何で立て続けにいろいろあるの。もう嫌気がさしてくるよ。

もう、それに紗矢が悲しむ顔はもう見たくないっていつか昔にそう思って誓っていたはずなのに…。

なんもできず終いで、泣かせちゃった。ごめん。

ああ、それでだ。昔、こやつに殴られたのは.........


えっと、何?良いとこだったのに…。うん?これはどういう状況なのかって?ああ、そうか。まだ言ってなかった。すみません。それでは、今から何で彼女が泣いてしまったのか。僕と紗矢との過去の事も含みつつ、振り返っていきたいと思います。それでは復習開始!



あの衝撃的な景色を確認して、皆気分ダダ下がりで本堂に戻ってきたのが、つい5分ほど前。

そっから誰一人として口を開こうと致しません。うん、まぁ。仕方ないね。

見慣れた、住んでいた街があんな有様なんだもん。やる気も生きる気力もごっそり奪われるわな。

はぁ~、さてどういたしましょうか。


全く見当もつきませんねぇ。ちらっ.........ちらっ.........

うーん、さっきから夕雫にアイコンタクトも送っているんだけど、全然気づいてくれないわ。

いや、気づいていないふりをなされているのか?分かんないけど、このオモダルイ空気をどうにかしてくださいませんか?こういうの得意そうじゃん。人の心読めるんだろ?どうにかしてよ。

こういう時に、つい人任せにしてしまう。こういう悪癖はまだ治ってなかった…。

でも、この雰囲気はなんとなーくやばいような気がする。

これはホントに直観。そして、ここ最近は結構その直感が、嫌なほどよく当たる。

結構厄介な代物になってしまった。


今回やってこられたのは、花さんの部下の自衛隊員らしい。「白縫三曹、お耳に入れておきたいことが...」とめちゃ言いにくそうなことらしく、声が消えかかっていた。その後、彼女と部屋を出て、彼女が血相を変えて戻ってくるまでは、まただんまりタイムになっていた。そういえば、兄と花さんて高校の同級生だったと思うんだけどな。兄はそのまま大学に行って、今は法律について詳しく勉強しているらしい。詳しいことは分かんない。そして、対する花さんは卒業後自衛隊に入隊して、今は三曹という階級で、久里浜駐屯地にいるんだっけ?今は、本来夏休み休暇期間中だったみたい、さっき話してた。三曹ってなんかの試験を通過しないといけないんじゃなかったっけ?花さん、すごいなぁ。兄よりもすごいよ。


なんて考えていたら、向かい側に座っていた夕雫が、おなか抱えてめちゃ大爆笑してた。何があったの?と思って周りを見るが、皆なんで急に笑い出したのか分からないようだ。

「...っ!アハハ!何それ⁉だから?だから、好きになったの?なるほどねぇ。」と独りでに納得なさってるが、こっちはまったく分かんない。しかも、恋愛関係ってこと以外の情報が全くなく、誰のことを指しているのか、全く不明。

読まれている方は、嫌だろうなぁ。って今自分が読まれているかもしれないのに。

「ああ、ごめんなさい。気にしないでください。」と目尻に涙をまだ浮かべたまんまこちらに気づいて謝った。なんか皆はそれで納得したみたい。

いやいやいや、なんで納得できるのよ?「ねぇ…、夕雫。誰の事を指してたの?」と聞こうとしてたのに、言い出そうと酸素を取り込んで吐き出そうとした、まさにその時。花さんは襖を引いて顔面蒼白状態で、戻って来た。「花?どうしたの?」と兄が心配しているようで聴くが、どうもかまっていられる余裕がない様子。

「皆、ここから逃げて!火がこっちに来るから。」と事実情報を端的に述べなさる。そこは流石自衛官って感心って、違う違う。

「えっと、どこに行けばいいのかな?」とふと思ったことを述べると、みんながこちらを向く。

どうも説明せいということらしい。「えっと、街はもう大方破壊されちゃったでしょ?あの水晶?みたいな隕石に。それで海にも行けないから、どこに行けばいいのかなぁ。ってちょっと思っちゃって。」と言う。みんな成程って顔持ちだね。「それで、花さんたちはどこに逃げてもらうことを想定してるの?」と聴く。まぁ、そんなこと聞いているけど、今この状態でさらに逃げれそうなところって限られているし、しかもここの近くだと一つしかないと思うんだけどね。「えっと、ひとまずは此処の裏山かなぁって、思ってる。」やっぱりね。

「でも、そこってやけに気難しい人が所有者だよねぇ。」と姉が皮肉たっぷりに言い放つ。でもこの意味が分かるのは、うちの家族だけかも。だって、所有者は苟も僕たちの父親だから。なんで土地を持っているのかは、また別の時に話すね。

だって、もっとすごいことが発表されちゃったんだもん。

「確かに、それはそうなんだけど…。今は、緊急事態だから使っていいって、許可もらった。なんせ、街にはしばらく入らないから。」「ああ、そりゃあ。あんなになってたらな。」と汐音が言い。その他諸々も頷く。


しかし、花さんの意味するところは違ったらしい。

「えっと、言いずらいんだけど、科学研究所あるでしょ?トリハラの」と言う。トリハラとは、此処を基盤として活動している科学研究、そして、薬剤製造のパイオニア会社である。そして、市中にある大型研究施設で、多くの薬などの科学関係の実験を行っている。

「うん、それが?」と兄が先を進めさせる。

「それが、そこで行ってた実験に使われてた、人工ウイルスが隕石が落ちてきて施設が壊れたことで、流出した恐れがあるからって.........」

そのことは、大いに皆を再びどん底に陥れた。

特に、紗矢を......... 彼女の表情がこわばっていくほどに、自体はどんどん悪化していくのであった。

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