18話 不機嫌さくらちゃんと部活動

教室に戻り、お昼の授業の支度をしていると視界の端に、桜の姿が目に入る。

そこにはいつもの底なしの笑顔はなく、ただ、何か悩んでいる様子だった。


そして睡魔と戦いながらも、なんとかお昼の授業を乗り越えた。

しかし、授業中も授業終わりの桜も様子がおかしい。


いつもなら真っ先に私のところに来るのに、机で一人暗そうな顔をして下を見いていた。

そんな様子に周りの子たちも少し困惑していた。


(昨日の今日でこんなにテンションの落差があったらたしかに怖いな。)

そんなことを考えながら桜のもとに行く

「どしたの?元気ないけど」

「え、あ。なんでもないよ!!ほんとに!」

「ほんとに?ならいいけど」

「ハルこそ珍しいね。私に話しかけて来るなんて」


たしかに私から桜に話しかけることは少ない。でも...

「だけど、友達が不安そうにしてたら助けたいよ。普通に。

「〜っ///」


私は不器用な人間だ。そんな自分に真っ向から向き合ってくれる親友が困っているなら力になりたい。


「あぁ〜あ!!だめだこりゃ!」

「???」

「ねぇ、今日放課後空いてる?」

「あ、うん。今日は暇だよ」

「だったら部活一緒に見に行こ。って言っても剣道部だけど」

「いいよ」


やっぱり桜は剣道部希望らしい、私は特に気になってる部活はないし問題ない


「ねぇ、ハルは部活はいらないの?マネージャーでも楽しいかもよ」

マネージャー... わざわざ姉のいるところに行きたくないなぁ...

そんなことを考えてると


「こんなとこで何してるの?」


「「?!!」」


よく知る声が突然聞こえてきた。


「サラ先輩!こんちゃっす!」 

「こんにちは、桜ちゃん。楽しそーにしてたけどなんの話をしてたの?」

「剣道部に見学に行こーって話をしてました!」

「!春香も一緒に来るの?」

「いや、私は「それがハルがしぶってるんですよー、先輩からも言ってやってくださいよ!」

「でも春香は剣道はあんまり興味ないだろうし...退屈じゃないかしら?」


確かに剣道自体はそこまで大好きなわけではない。一応姉さんと一緒に初めてなんとなく中学までは続けてきた。でもそれは少しでも姉さんと近くにいたかったからだ。


「そんなことないっすよ!だってハルは先輩の試合の話しょっちゅうしてますもん!」

「ちょっ...!」

「え?」

「『高校生になってからまたかっこよくなってるよー』って去年の春からずっと言ってますよ。こいつ」

「ほんとに...?」

「ほんとにっす」

「やめて!!///」

「でもどうやって私の試合を見たの?会場にはさくらちゃんしか...」

「もちろん見に行ってますから!一緒に!」

「さくら?!!///」

「ふーん...//」


さくらの言う通り私は姉さんの試合を毎回見に行っていた、さくらと一緒に。

さくらは律儀に姉さんに挨拶に行っていたが私は恥ずかしくて行っていない...。


もちろん、さくらには私がいることをその時にちゃんと口止めしていた。


のだが...。


「ねぇ、桜ちゃん、その話詳しく教えてもらえる?」

「もちろんです!!!!」

そんな記憶はこのバカ犬の中にはもう無いらしい!!


「やめて!!////」

さっきまで部活勧誘の話だったはずなのに気が付けば私の恥ずかしい話で盛り上がってる...

本当にやめてほしい!!!!!






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

龍人の姉とゆく シューマ555 @syuma5689

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ