21:無事に帰還!

 アリアさんとシアさんと一緒に街へ戻る際、他の冒険者の人とも出会い、私達がさっきコボルドの群れに出会った事を話すと、実力に不安がある冒険者の人達はヤバイと思ったらすぐに引き返す事にすると言い、注意したことにお礼を言われた。


 少しでも怪我をする人がいなければ良いんだけど⋯⋯


「それにしてもリナ、お前凄いな!」

「えっ!? そ、そうですか?」

「本当、今いくつなの?

 まだ正直凄く若そうに見えるけど」

「えっと、最近10歳になったばかりです⋯⋯」

「「嘘ッ!?」」


 正直、あまり褒められる事に慣れていない私が少し恥ずかしそうにそう返すと二人に相当驚かれた。


「ほ、本当ですよ?」

「いやいやいや、私達で今12歳なんだぞ!?」

「それなのに、冒険者なったばかりの子に助けられるなんて⋯⋯」

「「先輩としての自信無くすわぁ⋯⋯」」

「そ、そんな事無いですよ!

 あんな数のコボルドに一気に襲われたら私なんてあっという間にやられちゃいますよ!」

「でもアタシにはリナみたいな火力が無いからなぁ⋯⋯」

「私もまだ土魔法のLv1と火魔法のLv1しか取ってないからあんな数相手になんて出来ないよ」

「私のスキルも一人だけだと何も出来ないですから⋯⋯」

「まっ、とりあえず無事に帰れて良かったって事にしとくか」

「そうね、でも改めてお礼を言わせて。

 リナ、本当にありがとう!」

「ありがとな!」


 二人は笑顔で私にそう言うと、私なんかでも誰かの助けになれたんだと、とても嬉しく思った。


「いえ! 困った時は助け合い⋯⋯ですよね!」

「ああ! そうだな! ヤサスィーの冒険者は助け合いだからな!」

「私達もそうでありたい⋯⋯な」

「その為にもまずは実力を付けないとだな」

「そうだね、リア」


 そして話をしながら街へ戻ると私達はすぐにギルドへ報告へ向かった。



「ミスティさん、ちょっと良いですか?」


 私達は冒険者ギルドへ入ると、ちょうど受付にミスティさんがいたのでさっきあった事を報告する為に声をかけた。


「あ、リナちゃんどうかしましたか?」

「えっと、討伐してきたので、その査定とちょっと伝えたい事があるんですが⋯⋯」

「討伐ですね、えっと、アリアちゃんとシアちゃんも一緒に討伐を?」

「アタシ達はリナに助けられたんだ。

 だから報酬はリナに8割で頼む」

「えっ!?」

「私も異論は無いかな、むしろ全部貰ってくれてもいいくらいだし」

「そ、そんな!? 協力して倒したのは間違いないですよ!?」


 私だけでだったら絶対に倒しきれなかったのはわかっているからこそ、出来れば均等に分けたいと思っていたんだけど⋯⋯


「じゃあさミスティさんに聞きたいんだけど、怪我してまともに動けないアタシに回復魔法使って治療してくれた上に初動で群れの5分の1削って、その後もバッタバタと敵を切り捨てた子と均等に出来ると思うか?」

「⋯⋯リナちゃん、8割貰っておきましょう」

「そんな!?」

「と言うか、ギルマスが言っていたのはこう言う事だったんですか⋯⋯」

「私、ギルマスさんに何を言われてたんですか!?」

「い、いや、ナンデモナイデスヨ?」

「絶対何かありますよね!?」

「⋯⋯とりあえず、査定はコボルド⋯⋯リナちゃん?」


 コボルドの討伐部位を私が出すと、声色が低くなったミスティさんが私を見つめて来る。


「⋯⋯な、なんですか?」

「あの、この数は一体?」

「む、群れに出会ったので⋯⋯」

「これは群れってレベルじゃないですよ!?

 何で逃げなかったんですか!?」

「いや、二人のことを助けたいって思ったらつい⋯⋯」

「はぁ、無事に帰って来てくれたから良かったですけど、二人も運が良かったですね。

 何で森の奥に行ったんですか?」


 ミスティさんが私達が森の奥に足を運んだと勘違いしているようで、説教されそうになったけれど、まずは報告からしないと。


「えっと、その事なんですけど⋯⋯実は私達、浅い場所で狩りをしてたんです。

 そうしたらいきなり囲まれて、なんとか細い道で少しずつ相手をしながら逃げていたんですけど⋯⋯数には流石に勝てなくて」

「浅い場所で?

 確かにアリアちゃん達の今までの行動を考えると無理をした狩りはしないか⋯⋯

 それにコボルドが増えてるって報告もありますし、上位種⋯⋯ちょっと上に報告しておきますので、詳細を話してもらっても?」

「じゃあアタシ達が伝えるから、リナはゆっくり休んでくれていいぜ?」

「良いんですか?」

「ほんのお礼だ!

 また今度飯でも奢らせてくれよな!」

「⋯⋯はい!」


 ここで断るのは無粋かなと思った私は、二人と別れて孤児院へと戻った。


 報酬は明日また改めて受け取りに行く事にした。 流石に疲れたからちょっと今は休みたい気分だし。



「ただいま、リサ」

「あっ、おねえちゃんおかえりなさい!」


 私が孤児院の部屋に戻ると、リサが笑顔で私に飛び付いて来た。


「⋯⋯おねえちゃん?」


 でも、あまりにもの疲れに私はリサに押し倒されそうになってしまった。


「⋯⋯ごめん、リサ。

 ちょっと疲れちゃった⋯⋯」

「じゃあ、いっしょにお昼寝しよ!」

「うん、お昼寝しよっか」


 私はリサとベッドに入ると、少しの間眠ってしまった。


 リサのポカポカの身体が心地良くて、いつまでも寝ていたい気分だったけれど、夜に眠れなくなるのもいけないから少しだけで抑えるのが大変だったのはここだけの話。



「それで、どうだった?」


 アルスがギルマスにそう言うと、ギルマスは渋い顔をした。


「⋯⋯良くない知らせがある」

「何だ?」

「ワリィーノの街へ行かせたうち一番の偵察者によると、リナの両親だけでなく、多くの街の人間が殺されているようだった」

「ワリィーノ、相当黒いのか?」

「本人が相当な好色だって言うのもあるが、気に入らないやつをチンピラや殺し屋を使って排除しているらしい」

「⋯⋯はぁ、本当にクズだな」

「それと、リナの知識なんかについてだが、これも調べが付いた」

「そうなのか?」

「元、ではあるが、薬草貴族と呼ばれていた貴族の妾の子の子供がリナらしい」

「薬草貴族?」

「これもあまり有名では無いが、薬草に関する知識、そしてそれを利用した薬を作る事に長けた一族を薬草貴族として騎士爵と同等の待遇で国が抱えていたのが始まりだったそうだ」

「今では?」

「もう無いさ、だから元なんだ」

「どうして?」

「錬金術の存在だろうな、あれで効き目の高いポーションなんかが作られるようになったからな。 だが、リナの母親は錬金術師でもあったようでな、妾の子であったから平民として生きていたらしいが、販売する中、貧しい人にポーションを配ったりしながら生活していたそうだ」

「⋯⋯と言う事は領主がそれに目を付けたと?」

「そう言う事だ。 胸糞悪いけどな」

「それで、これから俺達はどう動けばいい?」

「うちの領主が今王都にさっきの情報を持って報告に行くらしい。

 一月ほどで情報も伝わるだろうから、動くならそれからだな」

「分かった。 それまではとりあえずいつも通り動いておく」

「すまんな、お前みたいな奴がうちにいてくれて助かったよ」

「何、ああいう手合いは嫌いだから俺が潰したかっただけだ」

「流石、A級冒険者さんは言う事が違うな」

「やめろって⋯⋯俺、リナに本当の事言ってないんだから」

「剣神のアルスが子供を拾って来た時は驚いたぞ」

「だからその二つ名はやめろって」

「ハハ、これ以上言うとどやされそうだしやめとくか。

 とりあえず、当分はこの街で出来る依頼を片付けておいてくれると助かる」

「了解した。 あと、偽造カードなんかも作って貰っておいて助かった」

「あぁ、良いさ。 あまりお前は目立つのが好きじゃ無いのは知ってるからな」


アルス


【固有スキル】


剣神の加護


【取得スキル】


剣術Lv5

-取得済武技

スラッシュ

ガード

ペネトレイション

ガードブレイク

グランスラッシュ

ワイドブレイド

オーラブレイド

パリィ


身体強化Lv3


筋力上昇Lv5


魔法系スキル


回復魔法Lv2

-取得済魔法

ファーストエイド

ヒール

アンチポイズン


生活魔法

-取得済魔法

クリーン

ライト

クリエイトウォーター

クリエイトファイア


生産系スキル

-取得済スキル

鍛治Lv3



危険察知

存在察知

害意察知

ストレージ(大)

アイテムボックス(小)


「はぁ、リナにバレたらどうしような」

「エリナも相当過小に言ってんのか?」

「あぁ、そうだな」

「まぁ、そのうち言えば良いんじゃないか?」

「そう⋯⋯だよな」

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異世界からこんにちは!〜異世界配信スキルを得た孤児の私は妹と一緒に幸せになるためにがんばりますっ! 二兎凛 @nitorin

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