18:異世界配信の新しい機能
「さて、と」
「リナ、何かあったら遠慮なく聞いてくれ」
「私達が役に立つかはわからないけど、相談には乗ってあげられるからね」
「はい! ありがとうございます!」
孤児院へ戻ってきた私達は、スキルについての検証を行うため、私の部屋でまずはスキルを発動してみる事にした。
そして、異世界配信の画面を出すと突然声が聞こえて来た。
【スキルレベルアップおめでとう!
スキルレベルアップの効果で新機能のチャンネル開設を解放したよ!
まずは右上のチャンネル開設ボタンを押してみてね!】
「チャンネル開設⋯⋯?」
とりあえず指示通りに右上にあるそのボタンを押してみる。
【チャンネル開設をする為にチャンネル名を決める必要があるから、インパクトのある名前を付けてみよう!】
謎の声がそう言い終わると、画面に名前を入力してくださいと表示された。
「え、えっと、チャンネルの名前を考えてくださいって言われたんですけど⋯⋯チャンネルって何ですか?」
「なんだそれ⋯⋯」
「早速意味不明なのだけど⋯⋯」
そんな事を思っているとスキルの声が聞こえてきた。
【チャンネル開設をすると、リスナーさんが配信や動画を気に入ってくれると、チャンネル登録をしてくれる可能性が出てくるよ!
このチャンネル登録をしてくれた人、登録者が増えると色々な特典が貰えるんだ!
いっぱい人を集めて大物YouTuberになっちゃおう!】
「⋯⋯とりあえず名前を決めれば良いのかな?」
「私が異世界から配信をしているチャンネルって事が分かれば良いんだよね?」
「す、すまん、全然相談に乗れなくて⋯⋯」
「き、気にしないでください!
こんなのスキル所有者の私でも分からないんですから!」
「と、とりあえず、リナの異世界配信チャンネル⋯⋯でいっか」
色々と考えてみたけど、シンプルな方が分かりやすいだろうし。
「俺達からはそれが良いのか悪いのか判断に困るからな⋯⋯」
「そうなのよねぇ⋯⋯」
「あっ、そうだ!
どうせなら配信をしてみてリスナーさんに聞いてみれば良いんだ!」
私は名案とばかりに手を叩きながらそう言うと、二人も悪く無いかもと言ってくれた。
「どうせなら二人も一緒に出てみませんか?」
「出るって言ってもなぁ⋯⋯相手の言ってる事俺には分からないしな」
「私もなのよねぇ⋯⋯」
「むぅ⋯⋯それもそうですよね⋯⋯一緒に配信出来たら色々と良さそうだったんですけど⋯⋯」
【コラボ配信を開始しますか?】
「えっ?」
「どうした? リナ」
「コラボ配信って何⋯⋯?」
「また新しい機能かしら?」
「た、試しにやってみても良いですか?」
「良いと思うぞ」
「私も賛成ね。
安全な場所で把握しておくに越したことはないわ」
「じゃあやってみます!」
そして私はコラボ配信の開始を押すと、いつもの配信画面が出てきた。
「うおっ!?」
「きゃっ!? 何これ!?」
「ま、まさか⋯⋯」
二人の反応を見て、私の頭にとある可能性が浮かんだ。
「二人にも、配信画面が見えてますか?」
「こ、このよくわかんない画面がそうなら、多分そうね」
「なんか、違和感が凄いな」
どうやらコラボ配信は配信画面を二人にも出す事が出来るようになる機能の事のようだった。
:リナちゃんこんにちはーって画面に3人もいる!?
「あっ、いつものリスナーさんだ!」
「な、何故か文字の意味が分かるわ!?」
「見た事ない文字なのに何でだ!?」
:あれ? アルスさんとエリナさんにも見えてるの?
「み、みたいですね⋯⋯」
:ど、どうして!?
「チャンネル開設の機能がレベルアップで解放されて、色々試してたらこんな機能が⋯⋯」
:チャンネル開設? 出来たの!?
「はい! なんとか出来ました!」
:あっ、本当だチャンネル登録しておくね!
「あっ、ありがとうございます!」
「なるほど、リナはこうやって会話していたのね⋯⋯」
「な、なんか慣れるまで気持ち悪いなこの画面⋯⋯」
:それで今日は何をするの?
「いやー、スキルのお試しがしたかっただけなので、すぐにやめちゃうつもりでした!」
:そう言えば今日初討伐なんだったっけ? お疲れ様!
「ありがとうございます!
えっと、今日はコボルドを何体か倒したんですよ!」
:おぉ、凄い! 良かったら次冒険者の活動してる所見せて欲しいな
「わ、わかりました! やってみます!」
:無茶はしちゃダメだよ?
「も、もちろんです!」
そうして、リスナーさんとの会話が終わり、配信を切った。
【累計チャンネル登録者数1名を突破しました!
初回ボーナスでスパチャポイントが10付与されました!】
「じ、地味にでかいよ!?」
「それにしても、リナってこんなスキルを持ってたんだな」
「他人に影響を与えるスキルなんて珍しいわよね?」
「強化術師の使う強化魔術くらいじゃないか?」
「かと言って、私達に何か起こる訳じゃないのだけど⋯⋯」
「あの文字が見えるくらいだからな」
「でも、これで私が怪しい事してる訳じゃ無いってのはわかって貰えたのでよかったです!」
「⋯⋯それもそうか」
「次からは遠慮なくやっちゃって良いからね?」
「はい!」
そしてアルスさん達は宿屋へと戻って行き、私は今日の新しい発見でもう頭が一杯。
「と、とりあえず今日は早めに寝ようかな⋯⋯」
私は現実逃避をするかのように眠りについた。
そして朝になって私は気付いた。
「折角昨日お金稼げたのにアルスさん達にご飯ご馳走出来てなかった⋯⋯」
次会った時に絶対ご馳走しようと私はそう決めた。
♢
ここは現代の日本で超有名なSNS、ピヨッター。
そんなピヨッターに初めてリナのチャンネルを紹介するぴよりが投稿された。
引きこもりニートくん@在宅勤務始めました
@neet_hikikomorin
前から言ってた異世界配信してる子、ようやくチャンネル開設出来たらしい。
下のURLから行けるから是非見てあげて欲しい。
http:--------------.com
🗨 2 ❤︎4
|
∟ベル@動画クリエイター
@bell_videocreator
やっと見つけた!
これ何度見てもCGじゃないのよね⋯⋯
本当に異世界ってあるのかしら?
|
∟ハルト@VTuber大好き
@haruto_vlover
VTuberかと思ったら微妙に違うのな
でも一部CGにしたら凄すぎるクオリティじゃない?
ここまで凄いのは初めて見たし、これで配信とかヤバいな
リナのチャンネルを紹介するぴよりはまだ反応は少しだったが、確実に少しずつ認知され始めていた。
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