15:初めての薬草採取

 朝になり目が覚めた私は出かける準備を始め、準備を終えるとリサを起こし、朝食を食べる為に食堂へ向かった。


「「おはようございます!」」

「あら、リナちゃんにリサちゃんおはようございます」

 私とリサはシスターさんに挨拶をすると食堂にご飯を並べるお手伝いを始めた。


「リサ、大丈夫?」

「うん、だいじょうぶ!」

 数人分の朝ご飯はそれなりに重いのか、運ぶ時によいしょよいしょなんて声を出しているリサを見て微笑ましく思っていると、気が付けばご飯を運び終えていて、皆で朝ごはんを食べた。


 サリーちゃんとシェリーちゃんとレオくんの三人は今日は街でお手伝いをしてお金を稼ぐとの事でご飯を食べた後私達は各々のやる事をする為に孤児院を出た。


 リサはシスターさんに色々と教わったりするらしいからシスターさんにお願いして私は冒険者ギルドへと向かった。



「おはようございます⋯⋯」

 私は冒険者ギルドの入り口から中へ入ると、中で待機していてくれていたエリナさんとアルスさんに合流した。


「リナおはよう、よく眠れたか?」

「リナちゃんおはよう、準備は大丈夫かしら?」

「はい! 大丈夫です!」

 私は元気よく二人にそう返すと、二人は依頼の貼られているボードのある場所へ私を案内してくれた。


「ここが基本的に依頼の貼られている場所だ。

 ここに無い依頼は常設依頼と言って、受付のテーブルに貼られているから、ちゃんと確認するようにな」

「常設依頼とここにある依頼の違いってなんですか?」

「常設依頼は基本的に魔物の討伐依頼や薬草なんかの採取依頼が多い。

 通常依頼の方は依頼主がいて、やって欲しい事、倒して欲しいモノ、欲しい物なんかを冒険者に依頼し、それを受けた冒険者が達成すると言う物だ」

「常設依頼は誰が出しているんですか?」

「常設依頼は基本的に領主だな。

 安定して稼ぐ事が出来るから有難いが、特別高い報酬が得られる訳では無いから基本的に討伐証明になる物以外にも素材となる部分なんかを持って換金するのが普通だな。

 それと薬草採取は知識が無いとまともに取れないから、雑草なんかも一緒に持ち込むと手数料を取られて実質的な利益がほぼ出ないなんて事もある。

 まぁリナには薬草の知識があるようだから大丈夫だろうな」

 アルスさんが私にそう教えてくれると、今日はこれが良いだろうなと言って私に薬草採取の依頼をすると良いと言った。


「討伐とかじゃ無いんですか?」

「まず、リナの長所は薬草の知識だ。

 それを活かしつつ、ついでに現れた魔物を倒していけば十分だと思う」

「なるほど⋯⋯」

「強い魔物やしっかりとした依頼はパーティを組んでから挑戦すると良い。

 薬草はしっかり区別が出来れば相当良い収入になるとも聞いたぞ」

「そうなんですか!? 私からすればもう見慣れた物ですけど⋯⋯」

「その知識自体がかなり貴重だからな?

 安易に人に教えないようにした方が良いぞ」

「分かりました!」

 そんな風に色々と教わっていると、徐々にギルドは依頼を求める人で賑わい始めて来た。


「そろそろ移動するか⋯⋯リナ、準備は大丈夫か?」

「はい! 大丈夫です!」

「基本的に私達はリナちゃんに何かがあった時にサポートする為に着いていくと思って頂戴ね」

「分かりました!」


 そしてギルドを出た私達は、街の門へと向かい、街の外に出た。


 街の近くにはそれなりに大きな森があり、そこまで強く無い魔物が表層に存在するのだとか。

 奥に入れば入るほど大きな魔物や、強い魔物がいるらしいけれど、不思議な事に表には滅多に出てこないんだって。


「リナ、この森にいる魔物は基本的にスライム、ゴブリン、コボルトの三種類だ」

「コボルトはゴブリンよりも耐久力が低い代わりに力強さと素早さが高いって言う特徴があるのだけど、かと言ってゴブリンは群れやすいから、近くに数匹はいると思って行動するようにして頂戴ね」

「スライムに関しては、まぁ、無害に近いな」

「核を潰せばスライムの中身が固まるのだけど、それを料理に使ったり出来るから、少し採取してみるのも良いかもしれないわね!」

「えっ、スライムって食べられるんですか!?」

「少し甘くてプルプルとしていてなかなか美味しいのよ?」

「私、絶対見つけたら倒します!」

 甘いと聞いた私はスライムを絶対に倒すと心に誓った。


 そして森に入り、気配察知を使うと周りに沢山の生き物の気配を感じた。


「気配が多すぎて、よく分からないです⋯⋯」

「気配の大きな物とか、その辺りはなんとなくわかるか?」

「大きな気配⋯⋯ですか?」

「あぁ、小さな生き物も気配は出すが、魔物はその中でも大きな気配を出すんだ。

 もし大きな反応を感じられないのなら周囲にいるのは小動物や虫の類だろう」

 言われてみると確かにアルスさんやエリナさんと比べると気配が薄く感じられる。


「それならこの周辺は大丈夫って事なんですね?」

「あぁ、危険察知も働いていないなら大丈夫だろう」

「でもちゃんと周りを良く見る癖は付けた方がいいわよ?」

「わかりました! じゃあ薬草があるかちょっと見てみます!」

 私は二人にそう言うと、周りを見て薬草のありそうな場所を探した。


「ちなみにどんな薬草だと高く売れるんでしょうか⋯⋯」

「痛みを抑える薬草や、回復薬の材料になる薬草なんかは結構高いと聞いたな」

「そうね、名前だけなら知ってるけれど、メディ草やディペイ草なんかは有名よね」

「⋯⋯あの、この周辺に沢山生えてるんですけど、誰も気付かないんですかね?」

「「えっ」」

 二人は驚くような顔をして私を見つめていたけれど、本当に薬草の知識は当たり前じゃなかったんだなと実感した。


 それからも私は、ささっと目についた薬草を採取していく。

 薬草は根っこを切らなければ自然とまた生えてくるから、必要な部分だけをストレージに保管したよ。


「手際良いな⋯⋯」

「と言うか薬草ってこんなに沢山あったのね⋯⋯」

 絶句している二人を尻目に私は薬草を大量にストレージに入れていった。


 これだけあるんだから、何食分かのお金になると良いんだけど⋯⋯


 そして採取に夢中になっていると突然私の気配察知に何かが引っかかった。


「これは⋯⋯魔物?」

「リナちゃんも気付いたようね?」

「少し大きな気配を持った何かがこちらに向かってきてます!」

「それじゃあ、魔物討伐の始まりだな」

 今回はサポートも無しで、自分の力だけで魔物を倒さないといけない。


 私に出来るかは不安だけど、待っているリサにお土産を買う為にも頑張ろう!


 そんな風に意気込んでいると、動物のような二足歩行の生物が私の目に飛び込んで来た。

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