現実世界で窓際編集隠キャの俺が彼女に浮気されたので当て付けに自殺したら女神様にガチャを引かされ、悪徳令嬢に転生したのでチートスキルを無理やり勝ち取り辺境でスローライフを始める

@enikki

現実世界で窓際編集隠キャの俺が彼女に浮気されたので当て付けに自殺したら女神様にガチャを引かされ、悪徳令嬢に転生したのでチートスキルを無理やり勝ち取り辺境でスローライフを始める

「クソッタレ!」


 俺こと窓際壁男(まどぎわかべお)は今人生の頂点へと立たされていた、それは物理的な意味で。

 

 「この高さなら逝ける」


 高層ビルの屋上に立ち今までの半生を振り返る。

 無能無能と蔑まれた日々、あれは全て仕事を押し付けてきた上司が悪い、自分のミスを全て俺に押し付け、俺の成功を一身に背負い込み、俺は不当な成果を浴びせられた。

 会社のみならず、私生活を振り返れば、彼女はまさかの4股の挙句ホスト狂い、俺の稼いだ金を生活費と言って※性活にあて、自分は昼間っから酒浸り、俺は昼間っから罵声浸り、こんな人生もう散々だ! 思い残すことは、親に孫の顔を見せてあげられなかったことと、彼女に竿を入れていないという事ぐらいだろうか。

 まぁ4股してる時点で俺になんか興味・・・興味無いんだろうけど・・・


 目から鱗が頬を伝う。そうだ最初から彼女は俺の金目的だったのだ! こんな隠キャで根暗で不細工のどこに好きになるところがあるんだ! 一昨日きやがれすっとこどっこい!


 「あ」


 俺は足を滑らせた、何故って? この寸胴が本当にどっこいしちまったからああああああああああ


 目の前に広がるは白銀の世界。

 そう言われると綺麗な情景を思い浮かべちまうだろうが綺麗とか汚いとか言うならそんな真っ白の世界にただ1つの太った体を地べたに寝そべらせてる俺がいるからきっと綺麗では無いだろう。


 俺は、死んだか、死んだな間違えなく。


 死んだらあれか?まずは三途の川とやらを探さなきゃ行けないんだっけか? まぁ聞くところによるとご先祖さまが川の向こうでこっちゃこいこっちゃこいしてるらしいからすぐ分かるんだっけか?まぁいい向こうの世界にいるよりはマシだ、天国で悠々自適にのんびり暮らそう。


 「残念でした!」


 突然目の前に現れたのは見紛う事なく巨乳でナイスバディの女神様、歳はそうだな3千年は生きてる感じだろうか? それなのに若々しく、年甲斐も無く薄い羽衣みたいなのを纏ってやがって、色んな意味で目の毒だ。


 「あの、さっきから全部聞こえてるんだけど?」


 「うわ出た出た、勝手に人の心読み取っちゃう系かよ、人間はこれだから困るのよね見た目で判断するからとか説教してくるんじゃねぇだろうなぁ?」


 「ここまではっきりもの言ってくる人間も珍しいわね、その見てくれからしてあなたさては魔物の類かしら?」


 「おまっ!!」


 俺は自分の身体? 霊体? を見直すと金はないけどまぁそう言われるだけの蓄えはこの身体に贅肉と言う形でしてきたので何も言い返せなかった。


 「貴方のその図太さをこんな形で終わらせるのなんて汗顔の至りだわ、あ、別に貴方が太っているからよく汗をかきそうって意味で言ったんじゃ無いのよ決して、そう決して」


 「馬鹿にしやがって!」


 「まぁまぁ落ち着きなさいな、そんな貴方にビックチャンス! 人生を1からやり直せちゃいます!」


 「転生って奴か?」


 「話が早すぎて困るわ、短足のくせに頭だけはでか・・・回転が速いのね。そのまま物理的に回転して油汗を此方にまで吹き飛ばさないで頂戴ね」


 「っく!?」


 我慢だ我慢だ俺、ここで怒ればこの転生云々の話は全ておじゃんになっちまうかもしれない、本当の意味でのセカンドライフを楽しめなくなる。


 「そう言うことよまぁお聞きなさい。窓際壁男よ貴方は自分の不幸な境遇において自殺を図りました、その人生が余りにも醜く・・・あまりにも悲痛で私は天から見ていて腹を抱えて・・・笑い泣きをしていました。いや心を痛めていました」


 「いやもう言い直さなくて良いから」


 「そう? そんな貴方に神々達はお手を差し伸べたいけどちょっと不潔だから声かけるだけにしようと、そして今転生が認められたのです! はい拍手!」


 女神は1人で拍手をしていた。


 「と言うことで、転生できることになった訳なので、このガチャを引いていただけるかしら? 現世での異世界希望ランキングにより基づき作られたこのガチャガチャ! きっと貴方の望む転生先になることでしょう!」


 「何でガチャなんだ?」


 「それはね、希望にそぐわない結果が出てその場で自殺していく転生者が一時期多発して各異世界の自治体が死体処理に困った事があったの、でもガチャを引かせる事によりそれが貴方の運命とか言っておけば、運命を飲み込もうとする物が多い地球では反発だったり不満が出なかったってわけ、アイデアの勝利ね! ささ早く早く!」


 俺は言われるがまま現世にあるようなあのガチャガチャの機械を回した。


 「ちょw悪徳令嬢とかwww貴方令嬢の意味分かってるの? 腐っても令嬢よwwwその顔で令嬢とかw嫁に行くときに結納金も払われない格安令嬢とでも名乗った方が良いんじゃないのwww」


 こいつ言わせておけば・・・!?


 こうなったら2回引いてやる!


 「あ!」


 美顔ローラー


 「美顔ローラーってwww貴方つくづく運が無いのね良いわその豪運に身を任せてプレゼントするわ美顔ローラーwwwそれ持ってさっさと異世界でも何でも行っちゃいなさい! 良い人生を!」


 ここ、ゼント王国では、世界からの物品が幅広く流通し、商人や勇者などの往来も盛んで、世界で2番目に大きな都市として有名だった。

 そんな中の貴族の令嬢として生まれた俺改めて私は、はっきり言って運が良かった。


 ハズレアイテムだと思っていた美顔ローラーは、あまり優れていなかった自分の顔に当てると見るも無惨に周りの女性達の顔を圧倒していき、この国1番の令嬢に成り上がり。

 子供の頃から貴族の方達との触れ合いがありその名性は立ち所に国内外へと知れ渡り、世界に敵なし、鏡に聞けば100枚中100枚が可愛いのはこの俺エレット・ルドガーという悪徳令嬢を指すようになった、何故悪徳令嬢かって? そりゃあれだ、嫉妬した他の令嬢達が俺の悪い噂を俺に近づいてきた貴族の男どもに言いふらして回っているからだ。

 付いたあだ名が【悪徳エレット】


 いくら身体が女とは言え心は男。

 男が男に抱かれたくは無いし不名誉なあだ名が逆に功を奏したって訳だ。


 そしてそんなある日俺はゼント王国の王宮で行われるパーティーに誘われて出向かざる終えなくなった、本当は行きたくなんてなかったんだが親がどうしてもと言うので仕方なく。


 「一緒に踊って頂けませんか?」


 「喜んで」

 

 内心じゃクソ喰らえと思っているのだが、ダンスは現世じゃ踊った事がなかったのでこの世界の家庭教師にみっちり教え込まれた、なに子供の頃から仕込まれたから幼い身体だと物覚えも早いって言うだろ? 早すぎて今踊っている相手を振り落とさない様に気をつけなけりゃいかん。何を隠そう今一緒に踊っている相手がこの国の第一王子にして許婚のアレン・ゼントだからだ。


 「今日も一段と美しいですねエレット」


 「またまたご冗談がお上手だこと」


 「そんなことはないさ、僕は君のことを本当に美しいと思っているからね」


 「私の噂をご存知なくって? 悪い噂を探せば立ち所に蜂が飛び回っているのですよ?」


 「そうかい? でも、君と最初に会った時のことを僕は忘れちゃいないよ? 顔を見られるのも恥じらう君があんな酷い真似が出来るとは思えないけどね、川に突き落とすだとか、食べ物に何か変なものを入れるだとか」


 微笑みキラキラ眩しい王子様が言うことは本当で、俺は女神の前では隠キャと言うことさえ忘れて振舞えていたが、実際のところ初対面だった第一王子であるアレンにあった時にイケメンに詰め寄られた恥ずかしさにより顔を直視出来ずにいた、それを面白がったアレンは俺の顔を幾度となく覗き込んできた、まぁそれはアレンのメイドの紳士たるもの女性の嫌がることはしては行けませんと言う活のお陰で治ったのだがどうやらこの王子は勘違いしているらしい。


 「あ、あれは演技ですわ! そんな事も見抜けないようでは王子にはなれませんわよ!」


 「君のその王子である僕に歯にきぬ着せぬ物言いは新鮮で好ましいよ、けどね見くびって貰っても困るな、僕はこれでも第一王子なんだ子供の頃から嘘をつく者の見分け方を習って来ていてね、大事な政情にちょっかいを出されないように真実を見抜ける眼を養われているし、本当に嘘をついて来る輩もこの眼で嫌と言うほど見てきたつもりさ、特に君の悪行を伝えに来た女性陣なんかは瞳の奥が濁りきっていたね、まるでヘドロ池のようにね」


 ま、眩しい! 眩しすぎる! まるで会場に並べられた銀食器がレフ板で、天からぶら下がるシャンデリアがスポットライトかのようにアレンの姿を際立たせていた。


 「なぜそんなにエレットは僕の求婚を断るんだい? 君に不自由はさせない約束しよう、君が思うがままのアクセサリーを与え、金銀財宝を与えようじゃないか、それでも不満かね?」


 「ふん、私目はそんなに安い女じゃありませんわ!」


 ここでふと女神から言われた、格安令嬢と言う汚名が脳内を過った。


 「私には夢がありますの」


 「その夢とは?」


 「王子には絶対に叶えられない約束ですわ」


 「面白い言ってごらん?」

 

 「私、辺境の地にてスローライフを謳歌したいのですわ、まぁ一国の王子であるアレン様には到底叶わぬ願いかと思いますが? 私夫とは常に一緒に居たいんですの! ですのでこのお話はなかった事にしていただけますこと?」


 「何だそんなことか」

 

 「そ、そんなこと!?」


 「この領地の際に山々に囲まれた辺境の地、エッサムがあるのは知ってるかい?」


 「えぇ、まぁ何でも敵からの侵入を防げる絶対の砦を築ける格好の領地だ・と・か・・・ま・さ・か・・・」


 「そうそのまさかさ、国はその領地に秘密裏に新たな城エッサム城を建築し終えたばかりでね、僕も近々その城へ行く事になっていたのさ、耳聡いとは思っていたけどまさか国家機密級の情報までもう手にしていたとはね、流石は僕の自慢の姫様だ、近日中にはそちらに出向くので城を移す準備をしておいてもらえるかな?」


 その時の俺はどんな顔をしていただろうか? 今ほど昔の顔が恋しい事は無かっただろう、そうすればアレンには見放されエッサムなんていう即興で作った名前の城に移り住むことなんてなかったのに・・・

 

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