第19話 死者行進
zzz…
「おい・・・急ぎ・・・・・騎士団を・・・」
真夜中気持ちよく寝袋で寝ている神代の耳に廊下から切迫した会話が入る。
「んぅ~」
ドアから廊下に顔を出すと慌ただしく城の人たちが左右に行きかってる。
「神代君⁉早く準備して広間に集まってください」
「ん?白銀さんどういうこと?」
まだ半分寝ぼけた状態で白銀さんに催促されたので服を着替えて広間へ行く途中窓から見える外がやけに明るいことに気づいた。新月の夜なのにだ。
広間に着くとクラスの殆どとカリュアス団長たちが集まっていた。数分遅れてクラスの全員が集まったところでカリュアス団長が話し始める。
「皆!こんな夜中に急に集めて申し訳ない、だが非常事態が起こった」
非常事態と聞いて周りが騒がしくなる。
「今回起こったのは
「なら俺たちがここに呼ばれる必要ないんじゃないのか?」
坂本が今回は良い指摘をする。
「あぁ今回は規模が大きくてなこの国は東西南北の4つの門の各方面から攻めてこられていて、流石に教国の聖教騎士団だけでは足りないのだ。そこで我々は北門の部隊の援護をすることになった」
クラスから少なからず悲鳴が上がる。それはそうだアンデッドなんて得体の知れないものと戦うなんて嫌だろう。しかし行かなければならない。
「安心しろ我々騎士団がが基本的に前で戦うし、教国から対アンデッド用の装備も支給されている無事に今回も帰るぞ!」
カリュアス団長がそう言うと慌ただしく準備が始まった。
準備を整え、北門へ繋がる大通りへ向かうと多少の侵入は許されているものの概ね門の近くでアンデッドを食い止めている。
カリュアスさんたちが全面で大きなアンデッドオークや厄介なのを食い止めてくれている少し後ろで俺たち生徒組は雑魚を数人がかりで倒している。
正面から来たゾンビの足を支給された剣で切り飛ばし、心臓の辺りにある核を切り仕留める。
「流石に手馴れてますね」
「まぁな」
白銀さんからお褒めの言葉を賜りながら周りの人に気づかれないように軽く殲滅していく。その合間に空間認識魔法を広げて今回の
「これか」
敵のアンデッドが来る方向の数百メートル先に設置タイプの召喚魔法陣が描かれている。
あれを潰せば終わりか・・・そう思った時、突如東側で強力な魔力が生まれた。それと同時に視覚的には今は分からないが結界魔法である『
この規模の結界魔法ができるやつなんて俺やエリシア、レノア、そして魔王直属の四天王や配下のものぐらい・・・
「マズいな・・・」
「何がです?」
白銀さんは当然この変化には気づいていない。というかこの場で気づけそうなのはカリュアス団長ぐらいだろう。
「東門の方で巨大な魔力反応が出た、俺じゃないと手に負えないやつかもしれない」「それは本当ですか?」
「嘘ついてなんになるよ?てなわけでそっちの方見てくる」
「はぁ・・・他の人は適当に誤魔化しておきますね」
「助かるよ」
この気配りはありがたいものだ。
「それと帰ってきてくださいね?」
白銀さんから何てことはないことを言われる。
「この程度帰ってこれないようじゃ俺は元勇者失格だ」
そう答えると簡単な魔法操作で民家の屋根に飛び東まで家を屋根伝いに飛んでいく。東門半分ほど家伝いに飛んだところで目の前からまた魔法陣が現れた。今度は教都内にだ。
「次から次へと面倒ごとを・・・」
東へ行くのを中断して目の前の魔法陣に向かう。
トラップ的なタイプの魔法陣なのだろう一回きりで大量のアンデッドを吐き出すと魔法陣が消えた。
吐き出されたアンデッド達が避難している市民の方へ既に近づいていた。
「お前らの相手は俺だよ」
市民とアンデッドの間に入り市民に近いやつから遠慮なく一刀のもと核を破壊していく。
「ここのやつらは僕が相手をするので皆さんは早く安全な宮殿まで避難してください」
足を少し止めて群衆に声をかけると俺はもう一段階ギアを上げてアンデッドの殲滅にかかった。見えるやつを片っ端から核を通るように切りながら魔法で身体能力を少し上げてさらに処理速度を上げる。2,3分ほどで出てきた約百体ほどのゾンビを仕留めると東門に向かう。
到着すると東門は地獄絵図の様相を呈していた。スケルトンに下級リッチ、アンデッドのワイバーンとハイ・オークなんでもござれのアンデッドの大セールが聖教騎士団をジリジリと押していた。この規模ってエンペラーリッチが絡んでるとしか思えないんだがエリシアによって浄化されてるから後釜か何かの仕業かよ。
流石に人前にこのまま出ると後で教国に色々バレそうなので衣類を詰め込んでる異空間から顔を隠す時用のフード付きのコートを出して着る。
さっきよりは手ごたえがありそうだ。
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