第2話 やっぱ王族は腐ってた、装備点検等々etc...

突然の事態にクラスの皆が悲鳴をあげる。


 そんな状況知ったことかと、王女がまた手を振り抜こうとした瞬間、そこの間に人が割って入った。


「邪魔をなさるのですか?白銀さん」

「当たり前です、何故むやみに人を殺すのですか?彼らは悪いことをしましたか?違いますよね」

「スキルも特筆すべきステータスも魔法も持っていない役立たずなんているだけ無駄です。貴女は丁重にもてなすのでそこからどいてくれませんか?」

「お断りします」


 二人の間で険悪な雰囲気が流れる、周りを見るが誰もさっきの光景に怖気づいて動けなさそうだ。こういうことは嫌いなので俺は白銀の横に移動し、王女に話しかける。


「俺も白銀さんと同じく、むやみに人を殺すのに反対です」

「中級程度のスキル持ちが私に反論しないでほしいですね・・・まぁ今回はあなた方に免じてそこの2人は助けてあげましょう」


 俺は見たくもない事態は回避されたことにほっと胸をなでおろそうとしたら、そこに爆弾が落とされた。


「ただし、神代怜、君は外の神狼の森に追放です、後は自力で我々を追いかけ、王都に来るか、それとも野垂れ死ぬか、運命次第ですが」


 王女様が浮かべちゃいけない嗜虐的な笑みを浮かべながら言い放った。



「う~ん、これからどうしたものか」


 宣言通り、王女に外にほっぽりだされ、クラスメートは支給された固定転移結晶で転移してしまった。

 俺的にはここから、自由気ままに行動してもいいのだが・・・


「けど、白銀と約束してしまったからなぁ・・・約束を破るのは気が引ける」


 別れ際に白銀にまた会おうといわれてしまい、反射的に返事をしてしまった。約束を守れない人間には死んでもなりたくないので、王都に行くことは確定事項、それまでにいくつか確認したいことがあるので先にそちらを終わらせてから向かうとしよう。


 俺は久しぶりに使い慣れた魔法を使えるか、確認していった。

水、火、土、風、雷、光、闇、聖属性すべてを初級から最上級まで使用し、問題ないことの確認をすました。次に空間魔法で異空間BOXを開き、アイテムの確認を済ませていく、ポーション系統から、あらゆる系統の武具、防具、そして聖剣。


 「ここを去る前と同じものを持ってるな、となるとあっちには・・・」


 俺はもう一つの日用雑貨、戦闘とは関係ないアイテムを仕舞っている異空間BOXを開き、あるものを取り出す。


 それは犬笛に似ているが少し違う、レノアが魔力を微量に使うことで音を増幅させる効果を持った魔道具の1種で、あいつを呼ぶためのモノである。

俺はそれを構えるとゆっくりと息を吸い、口を当てる。

(ここが、神狼の森ならあいつがいるはずだ)


ピィィィィィーーッ

神狼の森に響き渡る笛の音


「さて、あいつはいるのか・・・1000年後の世界といえど神獣なら生きてるはずだ

が」


俺が後ろの木に寄りかかろうとするとなにやら背中にモフモフな毛の感触が・・・

(レイなのか?)

突然、脳内に声が響く、久しぶりに聞く念話だ。

(あぁ、俺だよ、ルー)

俺が頭の中で返事をすると急に背中を支えていたモフモフが消え去り、俺はバランスを崩してしりもちをついた次の瞬間には視界がモフモフで埋まっていた。

(レイ久しいなぁ!1000余年振りか、あの時別れすら言えなくて、後でエリシアから事の次第を聞いて我は寂しかったぞ!)

(いや、ごめんな。別れも言えなくて心残りだったんだよ)

(ところでレイが何故こんなところに居るのだ?元の世界に戻ったのではなかったのか?)

この質問に苦笑しながら答える。

(魔王が復活して、新しい勇者を召喚したら俺も巻きこまれた)

(は?・・・くくっ、つくづく思うがよく何かしらに巻き込まれるのは相変わらずだなレイ)

(俺は自由気ままに暮らしたいんだがなぁ)

(けど、困っている人を見ると放っておけない、そうだろう?)

(そういうことだ)

俺は乗っかっている大型犬サイズのルーを抱き上げると心地の良い毛をしばらく堪能した、後にルーに問いかける。

(そういえばミズチやリンネはどうしてる?)

(もう10年程会ってないがこの大陸にはいるはずだぞ)

(そうか、のちのち合流しないとな、取り敢えず王都に用事があるから行くぞ、歩いていけば、ある程度の積る話も済むだろうし)

(分かった、今回の状況も詳しく説明を頼むぞ)

 俺とルーは王都の方を目指して、歩き始めた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る